新型コロナで「一斉休業」の磯丸水産。経営に“落とし穴”はあるか?
新型コロナウイルス関連肺炎の流行拡大に伴い、東京都を中心に感染封じ込めのため、週末や平日夜間の外出自粛要請が出されています。4月7日には安倍晋三首相が記者会見を行い、特措法第32条に基づく「緊急事態宣言」を発令。
24時間営業がウリで、「あいててよかった 磯丸水産」をキャッチコピーにしている「磯丸水産」も、緊急事態宣言を受けて、直営店全店舗(対象地域:東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県、宮城県、大阪府、兵庫県、京都府)において、4月7日~5月6日の期間、一斉休業を行うことを発表しました(ホームページ「【公式】磯丸水産」より)。
さて、この状況下で、磯丸水産は持ちこたえることができるのでしょうか。「ブラック企業アラート(@blackc_alert)」が、身近な企業を題材にして、企業の状況の調べ方・見極め方を解説する本連載。今回は磯丸水産の公開情報から読み解いていきます。
業績:店舗数は減少。これからが勝負
まず、磯丸水産の運営元であるSFPホールディングスについて概要の説明をします。というのも、飲食店を始めとした店舗業態の場合、分析に必要なデータは運営元のIRページに集約されているからです。各社のIRページにある「財務ハイライト」の項目を確認すると、直近の全体売上額を簡単に確認できることが多いので、ぜひ活用してください。
SFPホールディングスは1984年に設立され、 当初は「鳥良」業態で出発した企業でした。「磯丸水産」業態については2009年に吉祥寺に最初の店舗を出したのを皮切りに順調に拡大を続け、2013年に50店舗を、2015年に100店舗を達成しました。さらに2017年には150店舗まで拡大しています。
これを踏まえて、SFPホールディングスの売上高・経常利益額の推移を確認します。
SFPホールディングスは2月末が期末となっています。しかし、この企業の場合、通期の決算を発表するのが通常4月中旬以降であり、本稿執筆時点(4月5日、以下同)では第3四半期(3Q。この場合は2019年11月末)のデータまでしか存在していません。そのため、3Qと通期のデータを合わせて表示する形としています。
グラフを確認すると、売上高は順調に増加している一方で、経常利益についてはFY18から減益傾向であることが読み取れます(とはいえ、経常利益で黒字となっているのは本業で黒字が出ているということなので、事業経営として良いことです)。
磯丸水産の売上推移は?
母体であるSFPホールディングスの経営が安定していることが確認できたので、続いて、磯丸水産の売上推移を確認していきましょう。
表中では、SFPホールディングス内での位置づけがわかりやすいよう、SFPホールディングス全体の売上も併記しています。
現時点で公開されているのがFY20の第3四半期(3Q)までの数値のため、表内のFY20の値の一部(磯丸水産:通期・全社:通期)については筆者による予測値(3Q終了時点の値を割り戻し)で補完しました。
グラフを確認すると、SFPホールディングス全社における磯丸水産のシェアはゆるやかに下がっているものの、引き続き主力業態であることが伺えます。