なぜそこで?有楽町駅前に増殖する「立ち飲みサラリーマン」を直撃
仕事終わりにまっすぐ帰らないサラリーマン、通称「フラリーマン」の寄り道先は賑やか。JR有楽町駅の高架下では、買ってきたお酒を片手に乾杯する姿が目立ちます。
付近に飲食店も多いにもかかわらず、なぜこのスタイルを選ぶのでしょうか。
6月某日、金曜の夜9時過ぎ。1週間の脱力感が漂うJR有楽町駅では、銀座口の屋根がかかった高架下で買ってきた酒をかわすサラリーマンが一組、また一組と増えていきます。
週4でここで飲んでいるという2人のサラリーマンは、ほろ酔いになりながら取材に応えてくれました。
「タチカンの取材ですか? それならまずタチカンしなゃだめですよね」
「タチカン? タチカンっていうんですか?」
立ち缶は「飲めばわかる」
路上に立って缶のお酒を飲むこのスタイルは、「立ち缶」と呼ばれているようです。立ち缶をする理由を聞くと「飲めばわかるんじゃないんですか」とおごってもらえることに!
せっかくなのでお言葉に甘えると、目の前にあるコンビニの酒コーナーに一直線で案内をしてくれました。店員さんと挨拶を交わすほど常連のようです。
「カンパーイ!」
気持ちのいい夜風と町の雑音が交差する中で、立ち缶はスタート。付近で働く40代会社員の男性は、5年前に先輩に誘われてたのが立ち缶のきっかけでした。ここ数年で人はとても増えたようです。
飲みの趣旨は仕事の反省会。けれど、お店に入ると飲みすぎてしまうので、軽く飲もうという流れから習慣になりました。
「そうは言っても、楽しくなってついつい何缶も空けちゃうんだよね(笑)。終電まで5時間飲んだこともあって。居酒屋に行っても、飲み足りないから立ち缶することもある」
冬でも構わず立ち缶
筆者が一緒に飲んでいると、なんとなくビアガーデンのような開放的な気分になりました。暖かくなってきた頃にはアリだなと思ったら、冬の寒い時期でも立ち缶は行われているらしいのです。そこまでして立ち缶をするのはなぜなのでしょう。
「通りで立ってると街のいろんな人が見えるじゃないですか。それをなんとなく眺めながらだと話もしやすいし、横で同じように飲んでいる人と話すこともある。
知り合いが通りがかると『あ、やっているやってる』と合流してきて、最大12人になったことがあるよ。閉じた普通の居酒屋じゃこうはいかない」(先ほどの男性サラリーマン)
ゆるさと偶然性が立ち缶の良さのようです。おかげで外国人や異性との出会いもあったとか。しかし、ここで飲んでいて怒られたりすることはないのでしょうか。
「実は12人も集まったときはさすがに騒ぎすぎて、翌日、近くのお店から苦情の電話が会社にかかってきました……。でもそんなことは珍しくて、基本的に黙認されてますよ。
さっきのコンビニは理解があって店前で飲みやすいです。けどこんなところで飲むなんて間違いなくクズですよね(笑)」