世界初の「クラフトコーラ」を作る若き職人。大手広告代理店から独立したワケ
人々のライフススタイルが多様化するなか、職人的なこだわりをもとに既存の味では出せない「クラフト飲料」が、新たなトレンドとして脚光を浴びている。有名なのはクラフトビールだが、世界初のクラフトコーラ専門メーカーとして2018年7月に誕生したのが「伊良(いよし)コーラ」だ。
コーラといえば、「コカ・コーラ」や「ペプシ・コーラ」が一般的だが、伊良コーラは生のコーラナッツ、カルダモンやナツメグなどのスパイスと柑橘類を独自にブレンドした全く新しいコーラである。
伊良コーラの生みの親であり、株式会社GRAND GIFTの小林隆英代表取締役に、なぜクラフトコーラを創ったのか話を聞いた。
元は広告代理店で働いていた
伊良コーラを始める前は、大手広告代理店であるアサツー・ディ・ケイ(ADK)に勤務していた小林氏。「新しくアイディアを考えるのが好き」と話し、起業に対してはあくまで「自然の成り行き」という。
「広告代理店時代に経験した『ある商品をどういう切り口で広めるのか』といった考え方は今に活かされていると思います。でも、一番の根底にあるものは『幼い頃からコーラが好き』だということ。
偏頭痛に効くと言われていることや、お酒の代わりに飲むノンアルコールといえば、自分の中でコーラ一択だったのです。毎日のように飲んでいましたし、趣味の釣りをしに世界中を回ったときは旅のお供として、世界各地に根付く様々なコーラを味わっていましたね」
「和漢方」×「コーラ」唯一無二の味
まさに無類の「コーラマニア」と言える小林氏だが、社会人1年目の時にインターネットで「100年前のコーラレシピ」を偶然にも見つけることになる。
最初は興味本意でコーラを作り始めたものの、徐々にコーラ作りに情熱を注ぐようになり、最終的には伊良コーラが誕生した。
「いきなり今の伊良コーラができたわけではなく、試行錯誤を繰り返した結果ですね。正直、2年半前までは感動を与えられる味のものは作れていなかった。たまたま祖父の遺品整理で実家に帰った際、家族や親戚からは『和漢方職人だった祖父の調合技術を参考にすればいいのでは?』というアドバイスをもらったのが、ブレークスルーのきっかけ。
広告代理店の同僚に作ったコーラを試飲してもらったところ『お金を払ってでも飲みたい』と言ってもらえた。まさに『和漢方職人の技とコーラマニアの化学反応』が起きた瞬間でした」