職場の「リモートワーク指令」を無視して出勤したら…懲戒処分になる?
みなさんの中には、新型コロナウイルス拡大がきっかけで在宅勤務になった人もいるかもしれません。でも、どうしても出勤しなければならない用事ができたときはどうすればいいでしょうか? また、楽しみにしていた旅行をキャンセルせざるを得なくなったら?
そして、学生の就職活動がいよいよ本格化していますが、マスクを持っていないために面接が受けられなくなる可能性も出てきています。
前回は、SNSのデマやマスクの購入ルールなど、新型コロナウイルス蔓延に伴うさまざまな法的問題について紹介しましたが、こうした法的な問題について弁護士の後藤亜由夢氏に引き続き話を聞きました。
リモートワーク指令を無視して出勤したら?
新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、多くの企業でリモートワークが導入されています。
もし「在宅で勤務してほしい」という会社の指令を無視して出社した場合、法的に問題になるのかという質問に対して、後藤氏は「会社内において懲戒処分の対象になる可能性があります」と話します。
「会社と従業員は、入社の際に雇用契約を締結しているのが基本です。従業員は業務上、会社の指示に従わなければなりません。そして、会社が業務命令として従業員にリモートワークの指示を出したのであれば、原則としてその指示に従う必要があります」
通常の会社では、就業規則に「会社の従業員が指示に従わなかった場合は懲戒処分の対象とする」といった規定がありますが、会社からその従業員に対して懲戒処分を行うことができるとのこと。
本当に懲戒処分が下るかは判断次第
しかし、労働者保護の観点から、会社が懲戒処分を行うにはその違反行為が懲戒処分を行うのに相当か慎重な判断が求めらるようです。
「今回のケースでは、単にリモートワークの指令を無視して出社したにすぎず、さほど重い違反とは言えないので、懲戒処分にされるほどではないと考えられます。
ただし、その従業員がコロナウイルスに感染していることが明らかであるにもかかわらず出社した場合は、他の従業員にも感染する可能性があるため、重い違反として懲戒処分の対象になりうるでしょう」