仕事を我慢してはいけない。「ビジネス賢人」に聞く、嫌なことの辞め方
「苦難の先に栄光が待つ」といった考え方が長く浸透してきた。だが実際に残業・出世争いなど労苦の果てに得るものは大したことがない。ならば、嫌なことをやめて生きたほうが楽なのでは?
そんな考えが生まれつつあるなか、「嫌なことのやめ方」を考案してみよう。
「労苦の果てに栄光が待つ」信仰はいつ始まったのか
苦難を乗り越えた先に、栄光が掴めるというサクセスストーリーは古今東西で好まれてきた。これを「英雄の旅」と呼んで法則化したのが神話学者のジョセフ・キャンベルだ。
以来、『スター・ウォーズ』のジョージ・ルーカスをはじめ世界中のヒーローコンテンツ関係者が創作のベースにし、一般の深層心理に埋め込まれてきたといわれる。
その内容は図のとおり。ただ、多くのサラリーマンは試練で終わり、出世を手に入れられないのが現実だ。同理論に詳しいNLPトレーナーの足達大和氏は次のように話す。
「『英雄の旅』の中でも試練や悪魔として表現されますが、嫌なことの正体とは、実は親や権威者への抵抗や、過去に乗り越えられなかった恐れや課題の投影です」
嫌なことがやめられないときは、これに対峙しているつもりになっている、あるいは避けることで逆に再生され続けている状態なのだ。
「心理的には嫌なことだけを明確化しても、逆にそれの奴隷になる。例えば嫌な上司の声は『避けたい』と意識してしまうので、どんなに遠くからでも耳に入ってきてしまう。気の利いたドラマやゲームだと悪魔を仲間にしますが、そうやって呪縛から解き放たれ、統合されることが真に『勝つ』ということです」
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