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元キャバ嬢が8000万円営業ウーマンに。異色の「転職サイト」の舞台裏

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 ネガティブ要素だと思っていた職務経歴が、実は企業にとってはプラスの評価だった。そんな経験をしたことはないだろうか。

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※イメージです(以下同じ)

 人手不足を背景として、人材市場が活性化するなか、一見ネガティブな職歴の持ち主が“本来持つポテンシャル”に着目し、成長している企業がある。

 キャバクラやガールズバーなどの水商売からAV女優まで、ナイトワーカーを専門に取り扱う転職サイト「昼ジョブ」を運営する株式会社昼jobだ。代表取締役の坪嶋拓真さん(32歳)は、不動産営業マンなどの仕事を経て、2018年に同社を設立。「職務経歴に対する偏見をなくしたい」、坪嶋さんはそう語る。

きっかけは「静岡のNo1キャバ嬢」の面接

――起業するまでの経緯を教えて下さい。

坪嶋拓真(以下、坪嶋):当時、高校卒業して不動産会社で働いていて、人事の責任者をやっていたのですが「静岡のキャバクラでNo1だった」という21歳の女性が、もう夜の仕事からは卒業したいと面接を受けに来たんです。

 正直、職務経歴も何もなく、履歴書に自撮りの写メを張り付けるくらい社会経験もほぼないみたいな子だったのですが。逆に、ここまで振り切っていると、ものすごい精神力で、不動産の売買営業向きかもと思ったんです。

――それで雇ってみた結果はどうだったんですか?

坪嶋:1年目で粗利で8000万円を記録して、当時不動産の売買にいた全員の売上成績を抜きました。

――それはすごいですね!

坪嶋:それで、夜の世界には「ダイヤの原石みたいな人材がいっぱいいるのでは」と思い、3か月間、社内ベンチャーとして「昼ジョブ」をやってみたんです。そしたら会員登録が初月からけっこうきて、これはいけると判断し、具体的に起業の準備をしたんです。

元キャバ嬢が全国トップセールスに

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「株式会社昼job」代表取締役の坪嶋拓真さん

――実際にナイトワーカー専門の転職サイトをオープンしてみてどうでした?

坪嶋:企業からの引き合いで一番多いのは、営業職の求人。キャバ嬢も、ガールズバーの店員も、初対面の男の人と仲良く話せるという能力がある。また、年齢が若い割に年上世代の扱いにも慣れているし、人脈も豊富な点に期待している企業も多いです。それ以外だと、それなりの容姿を求められる秘書業務や美容業界からも声がかかりますね。

――これまで面談した中で特に印象に残った女性はいますか?

坪嶋:キャバ嬢から全国にチェーン展開する貴金属買取の会社に転職した子がいました。彼女は入社3か月で全国2位、4か月で全国1位を記録して、セールス能力がずば抜けていましたね。あとは元風俗嬢で介護職に転職し、マネージャーまで昇格した人もいます。

 ある時は、合計で21社も起業経営している社長から「秘書を雇いたい」と依頼があり、元キャバ嬢の転職希望者を1人紹介したら、かなり気に入っていただけたようで、そこの会社の第3秘書まで雇ってもらいました(笑)。

 一方で、私たちがどんなに丁寧に説明しても「夜職経験者だから」と面接すら受けさせてもらえない企業もあります。それ自体は会社の方針なので仕方ないですが、なかには「キャバ嬢じゃん価格安くしてよ」と言ってくる方もいて、そういう声を聞くと、夜職への偏見は根強いと痛感します。

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