まるで絵本?そっくりすぎて「赤と青の服を着させられた」双子兄弟
困ったときに助けてくれる存在でありながら、その実、疎ましいと思う時もある「身内」。しかも、それが双子ともなると尚更。
今回は双子ならではの悩みや葛藤を持つSさん(27歳・男性)に話を聞きました。
そっくりすぎる見た目に両親は
中学校の非常勤講師をしているSさん。お兄さんは一卵性の双子で、子供時代の写真は、一見して見わけがつかないほど似ています。幼稚園や小学校の先生からは、よく弟と間違えられていたとか。そこで、「見分け方を両親が考えた」のだと言います。
「『ぐりとぐら』という双子の野ねずみが主人公の有名な絵本があるのですが、それに両親がならったんでしょうね。幼稚園から小学校時代は、兄は常に青色、弟である僕は常に赤色の服装をさせられていました。馴染みのある覚えかただったようで、皆すぐに覚えてくれました。ただ、たまに赤色じゃない服を着ていると、『君はどっちだっけ?』と聞かれるのが少し鬱陶しかったんですけど」
『ぐりとぐら』では兄の野ねずみは青色の、弟は赤色の服と帽子に。S兄弟も、それぞれのシンボルカラーに合わせた服装を強制されていたとか。服装自体は決して嫌ではなかったそうですが、少し不満を抱いていたそう。
「やっぱりいくら見た目が似ているとはいえ、自分は自分なので。服装以外の個性的な点で覚えてもらいたかったというのはあります。それは当然、兄も感じていたことだとは思うのですが」
いちいち比較された中学校時代
中学校へ入学すると、さすがに顔立ちも違ってきて、「兄に間違えられることは少なくなった」と語るSさん。
兄弟二人とも小学校時代からサッカーをしていたため、中学校の部活動でもサッカー部に入部したそうです。しかし、ここでも双子であることが面倒な事態を巻き起こすことに。
「コーチから何かにつけては兄弟で比較されるんです。例えば、兄のボールキープが僕よりは上手かったので、兄を見習って体の使い方を覚えろと言われました。兄よりサッカーが上手な人はたくさんいたのですが、わざわざ比較対象として持ち出されるのが堪らなかったです」
いちいちセットのように兄を引き合いに出してくるコーチのことも嫌いになったそうですが、何よりあまりにも身近な存在でかつ比較対象の兄を疎ましく思ったそうです。