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路上で画廊に誘う女子に同情して、絵画商法にダマされた20代会社員の大後悔

コラム

 借金はできる限り避けたいもの。理由によっては致し方ない場合もありますが、もし詐欺的な商法によって借金を背負ってしまったら――。そして、若者の財布を狙う悪徳商法と、それに引っかかってしまう人は、後を絶たないのです。

繁華街

※画像はイメージです。(以下同じ)

おぼつかない様子がほっておけなかった

 今から5年ほど前、高田悠人さん(仮名・29歳)が休日に繁華街を歩いていると、小動物系の雰囲気をした同年代の女性に声をかけられました。

「かなりおどおどした様子で、チラシを渡してきたんです。近くにある画廊のチラシです。普段なら受け取ったりしないんですが、彼女のおぼつかない様子に社会人一年目だった頃の自分を思い出して、つい手に取っていました」

 脳裏に浮かんだのは、慣れない飛び込み営業に吐くほどのストレスを感じていた自分の姿。

「あんまりできる感じの子に見えなくて、苦労してるんだろうなあと思いました。会社の苦しんでいる新人を見ているみたいで、ほっとけなかったんです」

 高田さんは、美大を目指すことを真剣に考えたことがあるほど芸術に興味があったので、画廊に行ってみることにします。

「こじんまりとした画廊でした。飾られている絵は20点もなかったと思います。誰もいなくて、妙に落ちつける雰囲気でした」

 そこに並ぶ現代アートの絵画をひととおり見た後のこと。

「気に入った絵があったか彼女に聞かれて、良いなと思った絵について、その理由をあれこれと説明しました。普段、絵について語る機会はほとんどなかったので、気分が良くなったのかもしれません……。正直なところ、彼女に良いところを見せたいという気持ちもあったと思います」

そこに新たに声をかけてくる人物が……

 すると、そこで彼女の上司が声をかけてきます。

「おっとりした感じの綺麗な女性で、僕のセンスを全面的に肯定されたんです。『絵の特徴を的確に捉えている』と言われ、うれしくなり、さらに持論を展開していました。それが自分を追い詰めることになるとは、想像もできませんでした」

 その上司は「あなたは素晴らしいセンスを持っていて、絵の価値も理解している。だったら、手元に置きたいと思いますよね?」と、高田さんをべた褒め。買わないと言えば、彼女たちに語った話がうわべだけのものになってしまう。下心がバレるようで言葉に窮したそうです。長い間を挟んで、優しい声で上司が言いました。

「もしかして、ご自分のセンスに自信がないんですか?」

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