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楽天が買収した台湾球団ラミゴ。唯一の日本人スタッフ・29歳の素顔

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 楽天は9月、台湾のプロ野球チーム「ラミゴモンキーズ」運営会社の全株式を取得し、2020年シーズンから台湾プロ野球リーグ(CPBL)に参入すると発表した。

ラミゴの選手

ラミゴモンキーズの選手たち

「ラミゴモンキーズ」には2018年、日ハムに移籍した4割打者、王柏融(ワン・ボーロン)選手が在籍していた球団としても知られるが、実は台湾球界で唯一の日本人スタッフが働いている。球団スタッフとして働く礒江厚綺さん(29歳)に、現在に至るまでの道のりと、台湾野球の魅力について現地取材した。

人生を決めたアジアシリーズ観戦

――そもそも、台湾野球に興味を持ったきっかけは何だったんですか?

礒江厚綺(以下、礒江):実家が東村山市で、西武ドームが近かったので野球観戦は小さいころから好きだったんです。それで高校3年の11月に友達に誘われて、東京ドームで行われたアジアシリーズ(2008年大会)を見に行ったんです。台湾代表「統一ライオンズ」VS中国代表「天津ライオンズ」の試合でした。たしか台湾代表が勝ったんですが、スタンド席で応援していたら、台湾から応援に来ていたファンの方たちに声をかけられたんです。

 平日のお昼の試合だったので、観客は少なかったのですが「一緒に応援しようよ」という感じでした。でも声をかけてもらったのに、何も言葉ができないのが悔しくて……。大学でやりたいことも決まっていなかったので、中国語やってみようと思って文学部中国文学科に進学したんです。

――平日のお昼ってことは、学校はサボったんですか?

礒江:あ、気づきましたか(笑)。でも、その試合を見たおかげで、人生の進む方向が決まりました。

――自身は野球部とかには入ってなかったんですか?

礒江:入ってなかったです。あくまで観戦する側でした。中学は生徒会で、高校は山岳部、大学では中国語を学ぶサークルに入っていました。

ハマったきっかけは「距離感の近さ」

磯江さん

礒江厚綺さん

――台湾に初めて行ったのはいつですか?

礒江:大学に入学してからです。在学中はアルバイトしてお金が貯まったら、台湾に野球を見に行く生活を続けていました。連休や長期休みのたびに行っていたので、年間20試合は見ていたと思います。

――台湾野球にハマった理由は何なんでしょうか?

礒江:選手とスタッフ、ファンの距離が近いことかもしれません。私が観戦を始めた10年前ぐらいは外国人のファンは今より少なくて、グッズ売り場で買い物していると結構珍しがられましたが、親切にしてもらったことも多々あります。

「ラミゴモンキーズ」のファンクラブに入りたくてスタッフに声をかけたんですが、当時はまだ中国語の勉強を始めたばかりでなかなか通じなくて……結局、その日、休みだった日本語ができるスタッフが代わりに電話越しに通訳してくれたんです。その時は嬉しかったです。

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