ゲーム対戦=eスポーツが興行として成立する理由。大手企業も注目
2018年の「ユーキャン新語・流行語大賞」でトップテンに入賞した「eスポーツ」。ここ1年ほどで目にする機会が増えているワードだが、そもそもなぜこれほど注目されているのだろうか?
ゲーム・eスポーツ業界のアナリストとして、eスポーツビジネスの最前線で活動する但木一真氏に、この疑問をぶつけてみた。
eスポーツに定義ってあるの?
――そもそもeスポーツとはどういうものなのでしょうか?
但木一真(以下、但木):狭い意味でいえば、ゲーム機・パソコン・スマホなどのゲームを使って優劣や勝敗をプレイヤーが競うもの。そして、興行として成り立っているものを指します。興行として成り立っているというのは、大会としてチケットを販売して観客を集めたり、その様子をWebで配信したりするということです。
もっと広い意味なら、ゲームを使って対戦すればすべてeスポーツといえます。友だちと「マリオカート」をプレイするのもeスポーツといえますし、1人用のゲームでもスコアやクリアタイムを競えばeスポーツです。
「これはeスポーツで、これはeスポーツではない」というような考え方をする必要はないと思います。
――ゆくゆくは「オリンピックの種目にとりあげられるかもしれない」という報道もありました。
但木:eスポーツをオリンピックの正式種目にしようという取り組みは非常にキャッチーで、認知度を高めることにつながっていると思います。最近では国体で採用されるという動きもありますね。
とはいえ、eスポーツという言葉自体は新たに生まれた概念ではありません。昔から格闘ゲームの対戦とか、シューティングのスコア勝負とかありましたよね。それが最近になって、より競技化されて興行として広まり始めたということです。
eスポーツが流行り始めた実感とは
――但木さんが、eスポーツというものが流行り始めるかもしれないと感じたのはいつですか?
但木:最初に「おや?」と感じたのは、2018年2月にeスポーツ普及を目的とする一般社団法人「日本eスポーツ連合」が発足したときです。私もその発表会に出席していたんですが、従来のゲームメディアだけではなく、大手新聞社や一般誌なども取材に来ていました。
これまでは、ゲームに関するイベントにゲーム業界以外のメディアが来ることなんてほとんどありませんでした。このときに、社会一般からの興味や関心が集まり始めているのかもしれない、と感じました。
――2018年5月に総務省が発表した「eスポーツ産業に関する調査研究報告書」は、但木さんが当時所属していた「Gzブレイン社」が委託し、但木さん自身が執筆したそうですね。このレポートの反響はいかがでしたか?
但木:はい。執筆後、多くの方から「この報告書を読んだ」という言葉をいただいたんです。そして、ゲームに関連する企業の方だけではなく、これまでまったくゲームとかかわっていなかったような企業からも問い合わせをいただくようになりました。
そういう方々と話していくなかで、もしかしたらeスポーツというものは、想像していたよりもはるかに広がりがあるのかもしれないと感じました。