「孤独はいいものだ」と言い張る人ほど早死にする理由
孤独、そして死というキーワードが並んだとき、多くの人が連想するのは「孤独死」だ。20代のうちは他人事と捉えがちだが、生涯単身者が増加する昨今、孤独死は誰でも遭遇しかねない事実なのだ。
誰にも気づかれず、適切なケアを受けることもできず、一人寂しく死んでいくのは確かに怖い。だが、それ以上に怖いのは「孤独であること自体が死の原因になる」という事実だ。
たとえば2014年2月、シカゴ大学の心理学者ジョン・カシオポ博士らは「極度の孤独は高齢者の早期死亡を14%増加させる可能性がある」との研究結果を学会で発表し、話題を呼んだ。
孤独が死亡リスクを高めるということは、他にもブリガム・ヤング大学のジュリアン・ホルト・ランスタッド教授による研究(2015年3月)や、東京都健康長寿医療センター研究所の研究(2018年7月)でも報告されている。
もはや国民病! ぼっちが日本に蔓延する理由
ぼっちになりやすい男性に対して、孤独問題に詳しいコミュニケーション・ストラテジストの岡本純子氏は“孤独の怖さ”を訴え続けてきた。しかし、男性たちから返ってきたのは、反論の嵐だったという。
「人付き合いのほうがストレスになるとか、つくり笑いをするくらいなら死んだほうがマシだとか……。とにかく『孤独はいいものだ』と捉えている男性がこんなに多いのかと、愕然としました」
実際、巷では“孤独バンザイ”系の書籍が売れまくっている。
「日本人の場合、同調圧力的な社会による“人疲れ”を起こしている人が多く、その反動として孤独を美化するような書籍がウケているのでしょう。孤独にはスティグマ(負の烙印)が伴います。特に男性は、自分の弱さを認めることに繋がるので、孤独そのものを肯定するか、そうした不安を何とか飼いならそうとする人が多いように思います」(岡本氏、以下同)
孤独と孤高は別物
本当はみんなでワイワイ旅行したいのに、自分の周りには一緒に旅行するとケンカになるようなメンバーしかいないから、「一人旅がいい」と言い張っている感じか……。
「孤独と孤高は別物です。自らの意思に反して孤立し、精神的に苦痛を覚えている状態が前者。能動的、自発的に一人を楽しんでいる状態が後者。しかし、今の日本では両者が混同されています
孤独奨励本が売れていること自体、それを不安に思っている人が非常に多いということの証左でしょう。『孤独上等』という論法は一時しのぎにはなっても、根本的な解決策にはならない」