「ゴルゴ13」が50年間、読者から圧倒的支持を集める理由
会社員でも、フリーランスでも、その他大勢99%から抜け出し、傑出した1%の存在になるにはどうしたらよいのでしょうか。
自分の商品価値を知り、それにより「一点突破」するための方法。数々のキャッチコピーを手がけてきたコピーライター川上徹也さんの新刊『自分マーケティング――一点突破で「その他大勢」から抜け出す』に、その回答がありそうです。
本書のなかから今回は、人気漫画『ゴルゴ13』の主人公、デューク東郷を例に、読者から圧倒的支持を集めるための「自分マーケティング」の方法についてご紹介します(以下、川上徹也さんの寄稿)。
「ゴルゴ13」シリーズ総発行部数は2億8000万部!
『ゴルゴ13』という漫画作品とその主人公「デューク東郷」は、長年にわたって継続して売れ続けるという「自分マーケティングの教科書」のような存在です。では、なぜ売れ続けているのでしょう?
『ゴルゴ13』のことを知らない人は少ないと思いますが、ごく簡単に説明しておきます。
年齢・国籍・経歴いずれも不明の超A級国際的スナイパー(狙撃手)「ゴルゴ13」ことデューク東郷を主人公に、クライアントから依頼された「狙撃」というビジネスを原則1話完結で描いていくハードボイルド漫画です。作者はさいとう・たかをさん。
1968年11月から小学館『ビッグコミック』にて連載を開始。連載継続中としては日本一の長寿漫画であり、リイド社の単行本は2018年11月の時点で190巻を超え、シリーズ総発行部数は2億8000万部を超えるというモンスター作品です。
なぜ50年もビジネスを続けられるのか?
まずなぜこの作品が連載開始当初からその他大勢の漫画から抜け出し、大人気を得たのかから見ていきましょう。
主人公のデューク東郷は、狙撃を生業にしており、普通ならば忌み嫌われるはずの存在です。連載当初、作者のさいとう・たかをさんも読者の支持が集まるか危惧しました。連載もせいぜい10回くらいだろうと考え、最終回のストーリーも考えていたそうです。
しかし、連載開始当初から読者は『ゴルゴ13』を圧倒的に支持しました。
デューク東郷がスナイパーとして天才的であるだけでなく格闘技の達人で、あらゆる乗り物の運転・操縦はお手のもの、訛りのない発音で10カ国語以上を操るといった超人的能力もさることながら、いかなる権力や人物に媚びへつらうことなく、あらゆる思想や宗教からも中立という立場を取り、無表情で淡々と仕事を完遂するプロフェッショナルな仕事ぶりが支持されたのです。