ランチ難民を救う画期的サービス!オフィス向け無人コンビニ誕生秘話
企業ごとのニーズにどこまで対応できる?
――企業ごとに細かいリクエストをまとめるというのは、かなり大変そうですが……。
久保:なかなか大変です……。受け皿となるユーザーサポート、物流との連携、商品調達など、部署横断的な業務内容になりますし。ですが、「置き菓子や自販機だけでは拾えない細かいニーズにも対応できる」というのが600の一番コアな部分なので、そこに注力するようにしていますね。
おかげさまで、「大好きな『C.C.レモン』を置いてくれてありがとうございます!」とお言葉をいただいたり、600をオフィスのど真ん中に設置して社員同士のコミュニケーションのハブとしてご利用いただいたりすることも多いです。
貯金箱に小銭を入れるタイプの置き菓子の場合、後から総務担当の方が精算してみると金額が合わず、「誰がズルしてるの?」と疑心暗鬼になるケースが多々あります。600はクレジットカード決済ですので、その心配がいらないという点でもご好評いただいています。
今後はマンションでも展開される可能性が
――欲しいものを欲しいタイミングで買える。オフィスだけでなく家の中にも置きたくなります。
久保:現在、マンションのデベロッパー様からも引き合いをいただいているので、いずれはマンションなどに設置していく可能性もありますね。
日本のオフィスやマンションだけでなく、ウランバートルや上海など、世界の都市部で「徒歩1分以内で欲しいものが何でも手に入る」ようなサービスを展開していくことが目標です。コンビニへの移動に無駄な時間を費やす代わりに、家族と過ごしたり、起業したり、より貴重な使い方のできる世界にしていきたいと思っています。
――そもそも、どうして600を開発されたのでしょうか?
久保:きっかけは2つあります。まず、私自身が昼休み中の外出にうんざりしていたこと。以前渋谷の高層ビルで働いていたんですが、いちいちエレベーターを待たなくてはなりませんし、やっと着いたコンビニも物凄い行列で……。昼休みの1時間のうち、45分くらい移動で使っていたんです。
もうひとつは、2017年6月に現在の会社を設立した際、妻がつわり中で口にできるものが限られていたこと。妻は一時期「ファンタグレープ」しか飲めなくなっており、2時間くらい必死で探し回ってやっと手に入る有様だったんですよ。
ですから、「コンシェルジュのような形で、欲しいものを欲しい時にピンポイントで買えるコンビニがあればいいな」と無人コンビニを始めることにしたんです。
<取材・文・撮影/小泉ちはる>