マツコ、坂上忍も被害に「芸能人が絶賛」と書くネット広告の深い闇
悪質なネット広告にどう対処すべきか?
では、ひるがえってアフィリエイト広告の関連団体は、問題に対して、どのような対策を講じているのでしょうか。関連団体の一つであるJAO(日本アフィリエイト協議会)代表理事を務める、笠井北斗さんに話を聞いてみることに。
笠井さんは「そもそも、こうしたアフィリエイト広告の問題はシンプルな構造である」と言います。
「悪質なサイトに対して、広告料を支払う広告主がいることが、大きな問題です。問題解決への道筋はシンプル、元を断てば良いのです。現在JAOとしては、悪質なサイトにお金が流れないよう、芸能事務所やテレビ局に広告内容の事実確認を行い、虚偽の確認を取ったうえで、広告主側に取り締まり、是正喚起等の対応を依頼しています」
そもそも、アフィリエイトは「広告主がアフィリエイターを事前に確認して承認する」けれども、前述のように、最終的な広告の中身をチェックしないことが多い。つまり、広告主が悪質なアフィリエイターと契約せず、悪質広告を放置しなければ問題は生じないというわけです。
インターネット広告業界の動向
笠井さんによれば、JAOなど関連団体による、業界改善に向けた動きは着実に進んでいるとのこと。
「業界としては2018年内に悪質なアフィリエイトサイト、ネット広告が無くなることを目指しています。もし芸能人やテレビ番組関連の悪質なネット広告を見かけた、という方がいましたら、我々、日本アフィリエイト協議会に情報提供をいただければ幸いです。芸能事務所など、関連各団体の方も、一度我々にご相談いただければと思っています」
広告大手の電通が2018年2月22日発表した、2017年度日本の総広告費に関する調査によれば、インターネットは、プロモーションメディア、テレビに次ぐ第3の広告出稿媒体です。去年1年間での媒体費は1兆2206億円に上り、2年連続で2桁の成長を遂げています。
数字からもわかるように、インターネット広告業界は今最も勢いがあり、お金の流れている業界のひとつといえます。その一方で、ここで紹介した事例のように、急成長によるひずみが出ていたことも事実でしょう。
関連団体の動きが、どのように業界を改善していくのか、今後の動向に注目していく必要がありそうです。
<取材・文/小林たかし>