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「本番1秒前までガクガクしてていい」東大中退ラッパーが20代の悩みに回答

学び

直前までガクガクしてていい

弓道

※画像はイメージです

ダースレイダー:これは単純に手順の問題。繰り返すことによる“慣れ”っていうのも、もちろんあると思うんですけど、基本的には弓矢のイメージを持っていて、よし、ステージに出た瞬間に弓矢飛ばすぞって思って、なるべく直前までガクガクしてていいと思います。

 直前に余裕ぶりたい、こんなことは大したことないんだって思って本番を迎えたいって気持ちもわかるんですけど、そうじゃなくて、人前に出るまではもう、とにかく緊張しているほうが、ステージに上がったときに勢いよく弓矢が放てる。これが僕の心理的イメージです。

 あとは、その弦をどのタイミングで張るかっていうことだけ。本番で失敗する人は、ステージに上がってから慌てて弓矢の準備をして、「ああ、どこに弓矢があったかな」とか、それを落としたりして慌ててるっていう状態になるんですね。だから、事前に全部やっておく。あらかじめ慌てておきましょう。

 これをやるだけでも、割と気楽に本番をやりきれると思います。ステージに上がっちゃえば、もうあとは弓矢が的に届くまでってことになるんで。

自分に何を期待されているのか考える

ダースレイダー:たとえ、失敗したところでのダメージも実はそんなにないっていうか、別にみんなそんなに期待してないと思ってたほうがいいこともある(笑)。

「ちょっとでもうまくいったら、もうそれはプラス!」くらいの心持ちで。「ここの部分は結構うまく言えたぞ!」みたいなのを繰り返すと、気づいたら1時間とか2時間とかが普通に経っていたりするもので。

 ただ、ある程度できるようになってきて、結果を求められるようになってきたら、“弓矢理論”でいったほうがいい。ただ、別にまわりはそんなにうまく喋れることを期待していないときに、自分だけ勝手にハードルを上げるっていうのも、間違える原因になります。

 まずは、自分が何を期待されているのかってことを考えてみて、別にどうでもいいやって思われてるようなことなら気楽になるだろうし。本番の緊張っていうのは心構えだけで結構変えられると思う。

<構成/サジェリコフ 撮影/山口康仁>

1977年パリで⽣まれ、幼少期をロンドンで過ごす。東京⼤学に⼊学するも、ラップ活動に傾倒し中退。2010年6⽉に脳梗塞で倒れ合併症で左⽬を失明するも、現在は司会や執筆と様々な活動を続けている。

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