ネットで270万円調達して猫本屋を作ったサラリーマンの、したたかな開業戦略
2017年8月、東京・三軒茶屋にオープンした猫の本の専門店「Cat’s Meow Books(キャッツミャウブックス)」。
置かれている本はすべて猫に関連する本で、店内には保護猫が「店員」として常駐。そして、売り上げの10%が保護猫団体へ寄付されるという、前代未聞の本屋さんです。
店主の安村正也さん(50歳)は、外資系マーケティングリサーチ会社で働くサラリーマン。いわゆる“パラレルキャリア”を実践し、昼間は奥様にお店を任せ、終業後と休日にお店に立つというスタイルで書店運営を成り立たせています。
パラレルキャリアについてうかがった前回に続き、インタビュー後編では「Cat’s Meow Books」の開業に成功したワケと今後の展望について聞かせてもらいました。
出会い、チャンスは地道に自分で作るもの
――パラレルキャリアを考え始めたのは40代半ばだったとのことですが、本屋開業の具体的なプランを考え始めてから実現まではどれくらいかかりましたか?
安村正也(以下、安村):1年半くらいですね。
――まさにトントン拍子ですね。ベテランのノンフィクションライター、井上理津子さんが本屋開業までの経緯を詳しく取材した『夢の猫本屋ができるまで Cat’s Meow Books』(ホーム社)を読むと、まるで導かれるように、次から次へとヒントとなるものと出会ったりチャンスと遭遇したりされていますし。
安村:井上さんが、僕以外にも詳しく取材して、きれいにまとめてくださったから、そう見えるというのもあるんですけどね。
実際は「何かやりたい」と思っただけで、向こうから勝手に出会いなどが寄ってきてくれるわけじゃありませんから。こっちから一歩踏み出しているから、向こうもちょっと寄って来てくれるわけで。
出会い、チャンスは地道に自分で作るもの
――黙って待っているだけで出会いやチャンスが寄ってきてくれたわけではないと。
安村:もちろんです。本屋経営者と知り合いになるために、その人が出るイベントや講座に行って一番前の席に座ったりとか、質問をしたりとか、そういう地味なことを必死で繰り返し、繰り返しやってきましたからね。
――その結果、「猫本屋」のコンセプトに自信がつく意見をもらえたり、いろんな縁が繋がっていったんですね。