忖度が引き起こした悲劇…“自称フィクサー”に見る世間をあざむく交渉術
ノーマンに学ぶトークスキル
ノーマンはフィクサーとしては、決して敏腕とはいえないものの、見習うところがあるとすれば、めげることなく人の懐にどんどんと入り込んでいく話術。
言葉だけで物事を動かしてしまうトーク力はビジネスマンとしては持っておきたいスキルのひとつですよね?
とはいえ、ときにしゃべり過ぎなのがノーマンの欠点でもあるので、彼を客観的に観察しながら、「自分だったらこの局面をどう切り抜けるか」または「どうすれば上流社会にうまく食い込んでいくことができるのか」といったことを自分なりに考えてみるのも、この作品の楽しみ方としてオススメです。
誰もが「有名人や偉い人とつながりたい」という欲望を内に秘めているだけに、思わず共感してしまうノーマンの言動。しかし、その一方で手のひらを返したように態度を変える人間の怖さには気を付けなければならないと痛感させられるはず。そんな人間のあらゆる側面を垣間見ることができる作品だけに、ノーマンの“悲劇”から学ぶことは多そうです。
混乱の激しい現代だからこそ必見
一見、自己中心的に見えるノーマンですが、欲しかったのはお金ではなく他人から認められること。
本当に自分のことしか考えていない人たちに彼が与えたもの大きさに気づいたとき、その切なさには胸を締め付けられます。
ビジネスの世界では、ときにはフィクサーのようなずる賢さと多少のハッタリが功を奏することもありますが、何事もやりすぎると自分で自分の足をひっぱることにもなりかねないので、自戒の念も込めて、いまこそ観ておきたい1本です。
<TEXT/志村昌美>
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