評価されない理由は“あなた”じゃない!中小企業を変える「人事評価制度」の力とは?

「頑張っても評価されない」「この先のキャリアが見えない」──そんなもやもやを感じたことはありませんか? 働き方の多様化が進む中、若手ビジネスパーソンにとって“成長の可視化”はますます重要になっています。特に中小企業では「評価制度がそもそもない」「上司の気分で昇給が決まる」といった声も珍しくありません。
しかし、実はそんな中小企業で「人事評価制度」の必要性を感じて導入に踏み切る企業も出てきています。組織の仕組みが整えば、社員一人ひとりが“納得して働ける”環境を手に入れることができるからです。今回は、評価制度を通じて業績を飛躍的に伸ばした企業の実例と、それを支えるコンサルタントの声から「働く私たち」にとっての評価制度の価値を見ていきましょう。
目次
評価されないのは、あなたのせいじゃないかもしれない

「上司にほとんど指導されたことがない」「給料がなぜこの額なのか説明されたことがない」──そんな経験、ありませんか?
実は多くの中小企業では、評価制度そのものが存在しないか、あっても形だけのものにとどまっています。そのため、社員のモチベーションは下がり、離職率が高まるという悪循環に陥りがちです。
日本人事経営研究室株式会社の山元浩二代表取締役はこう指摘します。
「中小企業の多くは経営計画も人事評価制度も整っていない。社員が“なぜ評価されないのか”が曖昧なまま、モチベーションを失ってしまうんです」
でも、それは個人のせいではありません。組織の仕組み不足が原因であるケースも多いのです。
評価制度がある会社で、社員はどう変わったか?

評価制度が導入されると、何が起きるのでしょうか?
工具のリユース事業を展開する株式会社アクトでは、かつて社員の半数以上が退職し、社内の雰囲気は最悪の状態でした。そんな中、山元氏が提唱する独自の人事評価制度「ビジョン実現型人事評価制度」を導入したところ、社員の態度が劇的に変化したとのことです。
「評価項目に“謙虚さ”“向上心”などの人間性を取り入れたことで、挨拶すらなかった職場が、自然と“ありがとう”の飛び交う環境に変わりました」(伊藤啓介代表取締役)
人事評価制度導入前の2009年は離職率52%でしたが、導入後の現在は定着率95%と大幅に変化。売上も右肩上がりに伸び、導入から12年で3.7倍に増加、2025年には年商20億円を突破(グループ、フランチャイズを含む合計では約22億円)する見込みです。
未来の可視化がモチベーションに
評価制度が整った会社では、「今、自分はどのくらい評価されているのか」「あと何を伸ばせば昇進・昇給できるのか」が明確に見えるようになります。
山元氏が提唱する「ビジョン実現型人事評価制度」では、社員全員にキャリアステップが示され、未来の報酬水準や役職も共有されます。
「10年後の会社の成長戦略と、自分のポジション・報酬の変化がつながる。だからこそ、前向きに頑張ろうという気持ちになれるんです」
いま、「なんとなく働いている気がする」「このまま続けていて大丈夫なのか」と感じている人は、“見える未来”がある組織で働くことがどれほど安心感を与えるかを想像してみてください。
評価制度を活かすのは、あなた自身
もちろん、制度が整っていても、それを「活かすかどうか」は本人次第です。
アクト社では面談も評価制度の一部として重視され、「指導」ではなく「承認と成長支援」の場として活用されています。
「“この半年間、本当に頑張ってくれてありがとう”とまず認めたうえで、次のステップに一緒に挑戦する──。そう言われたら、もっとやってみようと思えますよね」(伊藤氏)
これからマネジメントを目指す人も、自分のキャリアをより良くしたい人も、「どう評価されるか」「どうフィードバックを受け取るか」は大切な学びの場になるはずです。
「仕組みを知ること」からキャリアは変わる
人事評価制度というと「経営層が考えるもの」というイメージがあるかもしれません。でも、それを“活かす”のは働く私たち一人ひとりです。
「自分は何を求められているのか」「どう成長すれば報われるのか」──その道しるべがあることで、仕事は“義務”から“自己実現の場”へと変わっていきます。
これからの時代、どんな規模の企業でも「人材をどう活かすか」が生き残りの鍵になります。そして、仕組みを理解し、活かせる人材は、どこに行っても重宝されるといえるでしょう。