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副業して稼ぐはずが借金100万円に!本業を持つ人を狙っていた悪魔の夫婦

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副業詐欺にご注意

世の中には、「稼ぎたい」という気持ちを利用する悪い人間も少なくありません。以前、bizSPA!フレッシュで、副業や投資詐欺の取材に応じてくれた佐久間大地弁護士も、「配信系やSNS系で、ラクして簡単に誰でも稼げるといった単語や誘い文句が出てきたら要注意」と警鐘を鳴らしています。

今回は、「副業して稼ぐはずが、気がついたときにはなぜか借金まみれになっていた」という高倉芳樹さん(仮名・20代後半)のケースを紹介。また、金融会社に勤めていた経験のある筆者が、今回のケースで想定される“最悪の事態”についても解説します。

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給料の安さからWワークを開始

「高校を卒業してすぐに入社したのは小さな会社でしたが、地元では堅実な企業として信頼も厚く、将来性もありました。ただ、法律やルールにも厳しく、残業が少ないのがネック。社会保険料や退職金の積立金などを差し引くと手取は10万円台となり、不満でした」

勤務年数が5年を超えても、昇給したのは数千円程度と微々たるもの。高倉芳樹さんは、将来への不安も大きくなっていきました。そんなとき、パーソナルジムが募集している求人を発見します。仕事内容は利用者のフォロー。

「未経験者やWワークの人でも大歓迎とのことだったので、すぐに応募しました。カラダを鍛えるのが趣味ということもあり、一石二鳥だと思ったのです。面接に応じてくれたオーナー夫婦は明るく印象のよい方たちでしたし、僕のことを即採用してくれました」

パーソナルジムのオーナー夫妻へ感謝

そして、会社終わりと休日にジムのトレーナーとして働くことになった高倉さん。オーナー夫婦は申し訳ないほどよくしてくれ、快適な環境で働いていました。仕事帰りに働く高倉さんのために、オーナーの妻が食事を作ってくれることは日常茶飯事。

「オーナーは営業終了後のジムを僕のために開放してくれたほか、飲みに連れて行ってくれたりもしました。アルバイトをはじめて約半年。感謝の気持ちが募っていき、気がつけば、自分も何かあれば夫婦の役に立ちたいと無意識に考えるようになっていったのです」

ジムのオープン資金のために名義を貸した

ジムをもう一軒オープンしたいと持ちかけられたのは、そんなときでした。お客は極端に少ないのにスタッフは高倉さんを含め3人。利用料金や関連商品の売り上げを計算しても儲かっているとは思えません。けれどオーナー夫婦の羽振りは、以前と変わらない印象でした。

「そのため、『ジムをオープンさせるためには、資金が必要。投資感覚で名義を貸してくれたら、オープン時に利益を分配する』との口車に乗ってしまったのです。ところが、夫婦の代わりにお金を借り、借りたお金を夫婦に渡して数日すると連絡が取れなくなりました」

しばらくすると、ジムも空き店舗になってしまいます。夫婦とは連絡が取れないまま、金融会社への1回目の支払い日がやってきました。困り果てた高倉さんは、ひとまず金融会社に相談しようとしますが、誰かの代わりにお金を借りることは“名義貸し”となることを知ります。

被害額100万円は泣き寝入り

「消費者金融から借りたほか、自分の貯金や給料からもお金を貸していたので、借金の返済については親に泣きつくしかありませんでした。ほかのスタッフも被害に遭ったようで、3人合わせた金額は500万円以上でした。僕の被害は合計100万円程度と、まだ諦めのつく金額だったからよかったですが、本当に気をつけてほしいです」

収入を証明しやすい会社員などはお金を借りやすいため、名義を借りる対象として選ばれやすいので注意してください。また、“名義貸し”という行為は違法。誰かの代わりにお金を借りていることが取引先の金融機関に知られた場合、一括返済を求められる可能性があるだけでなく、詐欺罪の共同正犯(刑法第60条)や幇助(ほうじょ/刑法第62条第1項)犯が成立するケースもあります

SNSや求人サイトでの甘い言葉には注意!

ここまでは“副業で稼ぐはずが、いつの間にか借金まみれになっていた”という話を紹介しましたが、SNSや求人サイトに紛れている怪しい募集を通じて犯罪に手を染めるケースも少なくありません。闇バイトについては多くの報道とともに、注意喚起されています。

それでも10~20代の若年層を中心に、闇バイトに手を染めて後悔する人が後を絶ちません。筆者が、他媒体で警視庁や闇バイトに手を染めた人へ取材したときにも、そういった現実が浮き彫りとなっています。SNSや求人サイトでの甘い言葉には、十分に注意してください。

[参考]
刑法|e-Gov 法令検索

フリーライター。おいしいものや楽しいこと、旅行が大好き! ライフ系や節約、歴史や日本文化を中心に、取材や経営者向けの記事も執筆。金融会社での勤務経験や接客改善業務での経験を活かした記事も得意です

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