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【世界の働き方事情・オーストラリア】仕事中に乾杯!? 日本と異なる驚きのワーク習慣とは?

コラム

世界の働き方事情・オーストラリア2

海外在住ライターや海外で働いた経験を持つライターが、各国の仕事事情を紹介するシリーズ「世界の働き方事情」。今回は、注目が高まっているオーストラリアの職業事情を現地在住ライターが紹介します。

オーストラリアの働き方は、リラックスした職場文化が特徴的。今回ご紹介するのは「通勤手段のトレンド」から、「オーストラリア的 “花金” 習慣」まで……。日本とは一味違った、オージー達のワークスタイルをお届けします!

懐にも環境にも優しい“エコ通勤”

オフィスで飲酒するビジネスパーソンのイメージ

Photo : Shutterstock.com

オーストラリアで最も一般的な通勤手段は車、通勤者の約70%が自家用車を利用しています。そのため都市部では、渋滞や駐車場不足といった問題も深刻化。そんな中、ガソリン代の高騰も重なり、新たな通勤手段を模索する人も増えているようです。

例えば、カーシェアリング。筆者の周りでも「近隣に住む同僚達が、車をシェアして通勤する」というのをよく耳にします。「行きは僕が運転するから、帰りは君よろしくね」。交通費を節約できる上、体力も温存。その上環境にも優しいとなれば、一石二鳥どころか一石三鳥といえるのではないでしょうか。

また、近年注目を集めているのが、電動キックボード。特にCBD(Central Business District)エリアは、自転車やキックボード専用レーンの導入も進められ、利用しやすい環境といえるでしょう。風を感じ、美しい景色を眺めながら出社すれば、何だか素敵な一日が過ごせそう。

サービス残業、いたしません!

オーストラリアの一般的な勤務時間は1日7.6時間、週38時間がスタンダード。通常のオフィスワーカーの定時は17時ですが、新型コロナウイルスの影響で、さまざまな企業が柔軟な働き方を取り入れるようになりました。例えば多くの企業ではフレックス勤務制度を導入しており、従業員は自分の都合に合わせて、始業時間や就業時間を調整することができます。

一方、残業は日本と比べ圧倒的に少ない傾向。多くの企業は残業を推奨せず、むしろ効率的な働き方を重視します。また、日本では「サービス残業」が問題となるケースもしばしば見受けられますが、オーストラリアでは通常「ありえない」こと。もし残業代の支払いにおいて違反があれば、重い処罰が科されます。このように制度的、国民の意識的観点からも、オーストラリアは健康的でバランスのとれた働き方ができる国といえそうです。

オージー的、花金の過ごし方

筆者がオーストラリア移住当初驚いたのが、「昼間からバーがにぎわっている」ということ。それもスーツを身にまとったオフィス・ワーカー達が、平日の昼下がりにビールやワイン片手に何とも楽しげ。「仕事はお休みなのかしら?」と、当時は不思議に思っていたものです。

聞けば勤務時間内でもランチ中、「グラス一杯のお酒は許容範囲」だそう(もちろん業種や企業にもよりますが……)。特に金曜は通常より長い時間(2〜3時間)をかけて、「ロングランチ」を取ることも一般的です。目的はビジネスミーティングや、社員同士の絆を深めるチームビルディングなど、さまざま。中にはランチ後、仕事に戻らず早退することもあるというから驚きです。

午後は仕事を早々と切り上げ、15〜16時には同僚と共にバーへ直行です。これは「フライデー・ドリンクス」と呼ばれる、オーストラリアに浸透する職場文化。週末に向けてリラックスするとともに、同僚との絆を深める重要な機会でもあります。

ちなみに週末は家族で過ごすのが一般的なこの国では、“花金”といえども同僚との飲み会が長時間続くことはまれ。多くの人が19〜20時には帰宅し、家族と一緒にディナーを楽しんだり、ゆっくりと時間を過ごします。このように、オーストラリアではワークライフバランスが重要視されており、長いランチや早上がりを通じて、従業員の満足度や生産性を高める文化が根付いているのです。

さて今回は、オーストラリアでの“働き方”に焦点を当てお届けしました。日本とは一風異なる文化が垣間見られたのではないでしょうか? 次回は、この国の“休み方”についてご紹介します。お楽しみに!

[参考]
Bikeway and pathway projects
Maximum weekly hours
Flexible working arrangements
Australia Overtime Laws
Alcohol and work
Cheers to drinking on the job?

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海外撮影コーディネート、TV番組制作、観光メディアの運営を経てフリーへ転身。 「暮らすように旅して、旅するように暮らす」をモットーに、“暮らし旅ライター” として国内外で活動する。現在は海外で活躍したい女性向けに、キャリア・コンサルティングも行っている。オーストラリア x 台湾 x 日本の3拠点ライフを家族と共に実践中。
https://www.instagram.com/kurashi_tabi/

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