シンガーソングライターの川崎鷹也(28)が映画初出演。「不安だと言っているだけでは何もできない」
2018年にリリースしたアルバム収録曲「魔法の絨毯」が、2020年にSNS上でブレイクし、一躍人気アーティストとなった川崎鷹也さん(28)。シンガーソングライターとしての順調な活動に加え、この16日から公開中の映画『魔女の香水』では、主題歌「オレンジ」提供のみならず、俳優としてデビューを果たしました。同じく12日からはNHK総合の夜ドラ『褒めるひと褒められるひと』でテレビドラマデビューも飾っています。
そんな川崎さんにインタビューすると、「やると決めたらやるだけ」、仮に歌が上手く歌えなかったときがあっても「悩むより練習」と、前を向いて走り続ける性格が伝わってきました。
目次
やりたいなら飛び込むだけ
――俳優初挑戦です。出演はどういったきっかけで?
川崎鷹也(以下、川崎):もともとは主題歌へのオファーでした。そのとき宮武(由衣)監督から「演技に興味はありますか?」と質問を受けたんです。少なからずやってみたい気持ちはあったので、「いつかチャレンジできるタイミングがあれば」とお話させていただいたところ、河原役をいただきました。
――実際に出演が決まって、プレッシャーや不安はなかったですか?
川崎:プレッシャーでしたし、不安な気持ちしかなかったです(笑)。でも不安だと言っているだけでは何もできなくなるので、やりたいならその世界に飛び込むだけです。決めたのは自分なので。
――その決断力は、演じられた河原と似た部分がありそうです。
川崎:そうですね。河原の性格というか、仕事に対するスタンスは、自分と通じる部分がありますね。仕事の内容もそうですが、むしろ誰と仕事をするのか、どういったモチベーションで仕事をするのかといったところに重きを置くという点は、河原とすごく似ていると思います。あと人をよく見ていたり。なので役作りはそんなにしていないです。監督からも川崎さんのそのままで、やってほしいと言われました。
桜井日奈子とは現場でいろんな話を
――本作は、派遣社員だった若林恵麻(桜井日奈子)が「魔女さん」と呼ばれる白石弥生(黒木瞳)と出会い、彼女の香水と言葉に突き動かされて人生を切り開いていく物語です。川崎さんが演じた河原は、桜井さんとの共演シーンが多かったですが、桜井さんとは?
川崎:いろんな話をしました。演技も話もしましたし、音楽の話もしました。日奈子ちゃんが僕の音楽を好きでいてくれたので、「こういう曲を聴きながらジムに行っている」といったことを話してくれました。演技に関しては、僕は分からないことだらけで、どういう風にセリフを言えば日奈子ちゃんがやりやすいのか全く分からなかったので、ご本人に聞いていました。どうしても僕はアウェイですから、それを日奈子ちゃんが、「この現場にいていいんだ」と思わせてくれる空気を作ってくれて、明るい現場にしてくれていました。
――出来上がった作品をご覧になった感想は?
川崎:自分が出ているシーンは全て気恥ずかしかったですけど、全体を通して監督の伝えたいことや、恵麻の伝えたいことが上手く表現されている作品だと感じました。僕自身は、その日できる全力をやっていましたが、どうしてもこうしておけばよかったみたいなものが出てきます。なので、もしまた機会があれば、こうしようといった次に向けての意識を持ちました。
――初演技ですけど、とても自然に溶け込んでいました。セリフ覚えなどにも苦労はなかったのでしょうか。
川崎:うーん。セリフは覚えるものなので。「覚えられないかも」とか考えても仕方ないですから。
三浦貴大は家に遊びに来るほどの仲良し
――小耳に挟んだのですが、俳優の三浦貴大さんとお友達で、セリフ覚えなどにも付き合ってもらったと聞きました。
川崎:はい。もともと前田敦子ちゃんと一緒にミュージックビデオを撮ったときに、スチールカメラマンとして入ってくれていたのが貴大さんなんです。貴大さんはもともと敦子ちゃんの友達なんですけど、撮影が終わって3人で一緒に飲んで、そこからすごく仲良くなって、自分の家にも来てくれる仲になりました。
――いつもお仕事された方とはそこまで仲良く?
川崎:いや、そんなことないですよ。貴大さんとは波長が合ったというか。貴大さんの人間力とか優しさに、いつも僕が甘えさせてもらっているんです。すごくピュアな方です。今回は、演技についていろいろ教えてもらいました。
昔から、気分が落ちることがまずない
――川崎さんの20代は、運命がとても大きく動いた時期だと思います。ご自身で引き寄せた結果だと思いますが、人生をポジティブな方向へ回転させていくために、普段から意識していることはありますか?
川崎:自分のやりたいことや、夢や理想像といったことを、いろんなところで口に出して言うことかな。たとえば25歳くらいのときは、自分の夢を言い続けて、自分のやりたいことのために行動し続けていました。それによって引き寄せられるものはあると思います。
――気分が負の方向へ落ち気味のときはどうしていますか? とことんまで落ちる? 何かで気分転換する?
川崎:僕、気分が落ちるってことがまずないんですよね。悩んだりもあまりないし。
――それは昔からですか?
川崎:小さな頃からですね。なんでだろう。悩んでいる時間がもったいないと思っちゃうのかもしれません。止まっていられないタイプなんです。少しでも行動し続けたい。ライブがうまくいかなかったり、うまく歌えなかったりしたら、凹んでてもうまくならないから、とにかくカラオケに行ったり、スタジオに入って練習します。
やりたいと思ったことは、そのときに
――アーティストの方には、いわゆる「悩める時間」もクリエイティブに繋がるイメージがありますが。
川崎:そういうアーティストもいると思います。でも僕はそうではないので。それを曲にしたいと思わないし。
――それがご自身で分かっているというのは強いですね。
川崎:サラリーマン時代も、新人の教育をしていたり、プレゼンの仕方などをトレーニングしていました。まず自分のことを理解して、進みたい方向を見ているところはあると思います。
――20代のうちにやり遂げたいこと、もしくは30代の展望、野望はありますか?
川崎:僕は、その時その時に、やりたいと思ったことを実現させていくエネルギーが強いんです。この時までにやりたい、といったことではなく。だから例えば、30代になったら「全国のみんなに歌を届けにライブに行きたい」という展望がもしあるのだとしたら、「今年の秋にやろう」と思いますね。
明日からまた少しだけ頑張ってみようと
――ありがとうございます。最後に、映画をまだ観ていない人にひと言お願いします。
川崎:僕も会社員だったことがあるので分かるんですが、働いていると、うまくいかないこと、納得できないことが毎日のように起こるものです。そうした人たちが、この映画を観て、恵麻の成長や、周りの河原たちも含めて、一歩を進んでいく姿に感化されて、明日からまた少しだけ頑張ってみようかなと思ってもらえたら嬉しいです。
<取材・文・撮影/望月ふみ ヘアメイク/高徳洋史(LYON)>※高は正しくは「はしごだか」
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『魔女の香水』は全国公開中
(C) 2023 映画『魔女の香水』製作委員会
https://majo-kousui.jp/
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