一泊100万円のスイートまであるトンデモ空港は北の大地を代表する新千歳空港
1泊100万円?空港ホテルがすごい
2020年に空港内2か所目のホテルとして国際線ターミナルビルに新規開業したホテルは「ポルトムインターナショナル北海道」です。ポルトムとはラテン語の造語で「すべての人の港」を意味し、落ち着ける場所を目指す気持ちが伝わります。ホテル内は天井が高く、照明は落とされて空港内とは思えない静寂な空間の中でチェックインができるなど、上質なサービスを心がけています。
宿泊支配人の弓削泰浩さんは、「ロビーには江戸時代の画人 蠣崎 波響(かきざき はきょう)の代表作「夷酋列像(いしゅうれつぞう)」の高精細複製作品を並べ、お客様をお迎えします。館内ギャラリーに展示する中村 芳中(なかむら ほうちゅう)の「十二ヶ月花卉図押絵貼屏風(じゅうにかげつかきずおしえはりびょうぶ)」は公立美術館が貸出しを希望するほどの作品です。滞在者が茶道を気軽に体験できる茶室「清風庵」もご用意し、滞在できる美術館として非日常を愉しんでいただけます。」と話します。
1泊100万円するという最上階の8階にある250㎡の数寄屋スイートを見せて貰いました。人感センサーで作動したカーテンが開くにつれ駐機する航空機が見えてきて、広がる広大なパノラマに息をのみます。ターミナルビルの展望デッキに勝る空港全景が視野に入りワクワクします。
リビングダイニングの洋間に続き、数寄屋造りの8畳の和室が部屋の中に設けられており、奥にキングベッドが2台。部屋の窓側には温泉がひかれた湯船があり、浸かりながら飛行機の離発着を眺めることができます。和と洋の折衷が心を休ませてくれます。ホームページには24時間滞在できるモデルプランが書かれており、国内線ターミナルビルを出た時に送迎が始まるなど特別な世界へ踏み出すことができます。
空港内にはもう一つ、国内線の駐機場が目の前に広がる「エアターミナルホテル」があります。2012年に以前のホテルを引き継いで開業しました。部屋からの航空機の近さは日本屈指で迫力があります。飛行機の到着から出発までの動きを見ていたいならこちらのホテルがおすすめです。
空港運営は北海道エアポート
このエンターテインメント空港である新千歳空港を含む道内7空港を運営するのは北海道エアポートです。設立された2019年直後にコロナ禍に突入しました。同社新千歳空港事業所 総務課の長澤遼太郎さんは、「空港は、千歳市と苫小牧市に位置し、札幌市も含めて航空機利用者以外の利用者をもターゲットとしたレジャー施設として、集客しています。コンセプトは一日過ごせる空港ですね。」と言います。
新千歳空港は人気観光地、北海道の玄関というだけでなく海外、特にアジア人の好む目的地へのアクセスとして利用されてきました。今後は道内各空港との連携を始め、新千歳を中心として函館と旭川とを周遊するモデルコースを作り、魅力ある空港作りで集客を目指すと言います。これからも充実した施設の展開で来場者を喜ばせてくれることでしょう。
<TEXT/北島幸司(航空ジャーナリスト)>