【精神科医が解説】そもそも五月病とは何なのか?うつ病とどう違うのか?五月病になりやすい人は?
意外と見過ごしがちな2つのケース
「自分は五月病ではなさそう」と思っている人も要注意。見過ごしているケースもあるという。
「プライベートでは趣味などを思い切り楽しめるけれど、仕事など、明確にストレスを受ける環境に行くことだけに気力が湧かないという人もたまに見られます。実はそういったケースでも病的に重度な場合があります。
また志望通りの進学や昇進ができ、一見ポジティブな環境変化であっても、五月病のような状態になることもあるため、注意が必要です」
本格的にうつ病にならないためにできること
五月病っぽいと感じている場合、本格的なうつ病にならないために予防したいものだ。どんなことをすればいいだろうか。
●睡眠の量と質を重視する
「精神的な無気力さを回復するには、自律神経や脳神経の疲労が回復され、栄養や酸素がいきわたっている状態を作るために、睡眠の量と質が重要です。起床時刻を一定にし、午前中に光を一定時間浴びることで、自律神経や脳神経を正常化するのに役立つセロトニンの正常な分泌につながります」
睡眠の質は食生活でも改善できるという。
「美味しいものを食べると“幸せホルモン”と呼ばれるセロトニンが分泌されるので、適度であれば好きなものを楽しむことはおすすめです。しかし、栄養が偏ったり、糖質・脂質など胃腸に負担がかかるものを過剰に摂るのは、メンタルヘルスにも良くありません。
細胞を作るたんぱく質が摂れる肉や魚、脳神経の働きを助けるビタミンB12が豊富な貝類、血行量を増やして深部体温を冷やすグリシンを含むエビやウニ、睡眠の質を上げるパラミロンを含むユーグレナ、神経伝達物質の原料となるトリプトファンが豊富な豆腐や納豆、GABAが豊富な発芽玄米などを意識して日々の生活に取り入れてみてください」
また適度な運動も重要だという。
「可能であれば、起床してから15分間の散歩を。他、夕食前までに20分以上のウォーキングをするのもおすすめですね」
人に悩みを聞いてもらうのも有効であるそうだ。
「職場の同僚や上司に相談することでストレス環境要因を改善することができるかもしれません。また、友人や家族に話すことで安心感や共感を得て気持ちが軽くなると思います」
今、まさに五月病っぽさを感じているなら、前向きに今回解説された内容に取り組んでみてはいかがだろうか。もし解決のきざしがなければ、精神科に相談するのも一案だ。
<取材・文/一ノ瀬聡子>
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【取材協力】
芦澤裕子氏
精神科医・市川メンタルクリニック 院長
日本睡眠学会認定医、精神保健指定医、日本精神神経学会専門医、指導医。心療内科、精神科のクリニックにて精神障害、睡眠障害などの治療にあたる。「心やすらぐ、ぐっすり眠れる夢の絶景カレンダー」「GOOD SLEEP BOOK 365日ぐっすり快適な 眠りのむかえ方」(翔泳社)監修。
市川メンタルクリニック
https://www.ichikawa-mental.jp/
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