なぜ酒ではなく水が日本一売れているのかサントリー天然水担当者に聞く
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コンビニやスーパー、ディスカウントストアで陳列されている飲料商品の中で、オーソドックスかつポピュラーなのが「水」だ。
ミネラルウォーターは好き嫌いがほとんどなく、ライフスタイルのさまざまなシーンにも合うことから、老若男女問わず、多くの消費者が日常的に選んでいる商品と言えるだろう。
こうしたなか、「サントリー天然水」はミネラルウォーター市場において、27年連続売り上げNO.1を維持するトッププランドになっている。
国内外の各メーカーから、多種多様なミネラルウォーターが販売されているのにもかかわらず、なぜ人気を維持できているのか。
サントリー食品インターナショナル株式会社 ブランド開発事業部 課長の佐藤 匡氏に、その理由を聞いた。
サントリー天然水はお酒の割り材で使う業務用商品だった
サントリー天然水は当初、「山崎の名水」や「サントリー南アルプスの水」といった商品名で、居酒屋やバーなどの飲食店向けの業務用商品として需要があったという。
「お酒を出すお店では、 ウイスキーの割り材としてミネラルウォーターを使っており、サントリーの天然水でウイスキーの水割りを作るニーズがありました。ただ、1970年代は『お金を出して水を飲む』という概念自体がなく、あくまでお酒や食事の席で嗜むのが一般的でした。また、飲食店に卸すのは、今のようなペットボトルではなく瓶だったんですよ」
1991年には「サントリー 南アルプスの天然水」という名称で、2Lペットボトルのミネラルウォーターを発売。
コンビニなどの小売店でも小容量のペットボトル商品が陳列されるようになり、1996年には同商品の500mlペットボトルの販売を開始する。
「健康志向の高まりに加えて、猛暑に伴う渇水やマンションの貯水タンク汚れなどが社会問題化し、綺麗でクリーンな水の需要が高まったのを受け、ミネラルウォーターの生産量は年々増えていきました。そのため、1996年にはブランド初の『南アルプス白州工場』を稼働させ、商品の安定供給ができる体制を整え、それがブランドの成長を支える原動力になっています」