サマンサタバサ、なぜ苦戦?“7期連続の最終赤字”に至った3つの主要因
得意のプロモーションに陰りが…
また、2000年代前半はパリス・ヒルトンなどのセレブリティが独特なコーディネートで、ファッション界のブームを巻き起こしました。
サマンサタバサは早くから海外のセレブリティをプロモーションに起用しました。その派手さは日本のブランドとは思えなかったほどです。しかし、テレビや映画を中心に活躍する有名人の影響力は少しずつ低下しました。
アメリカのお騒がせ有名人で、「フォーブス」が発表する世界長者番付において21歳で史上最年少の富豪に認定されたカイリー・ジェンナーの名前を聞いて、ピンとくる日本人がどれだけいるでしょうか。
セレブリティのような有名人は一部のコミュニティに熱狂的なファンを持つ、分散型へとシフトしました。サマンサタバサが得意としてきたプロモーション手法は、効果が出づらくなったのです。
EC比率は全体の15%に留まる
オンライン化に遅れを取ったことも業績悪化に拍車をかけました。サマンサタバサの2022年2月期のEC売上は38億円。売上高全体の15%程度に過ぎません。一方、niko and…(ニコアンド)などのファッションアイテムを手掛けるアダストリアの、2022年2月期のEC売上は574億円で、全体の3割を占めています。
新型コロナウイルス感染拡大により、ショッピングモールや路面店は大打撃を受けました。そのため、店舗を構える多くの会社は意図的にEC比率を引き上げようとしました。サマンサタバサもEC比率を高めようと公式アプリの強化やリピート販促などを行っていますが、結果がついてきません。
サマンサタバサは不採算店の閉鎖を進めています。EC比率が高まらないままだと、撤退による減収が止まらなくなります。今後は得意ではなかったWebマーケティングを強化し、ECへの集客力を高める必要があります。
2020年7月にコナカの子会社となったため、債務超過に陥っても倒産することはないでしょう。しかし、早い段階で再生計画を打ち出し、実行しなければ事業縮小の一途を辿ることとなります。
<TEXT/中小企業コンサルタント フジモトヨシミチ>