サマンサタバサ、なぜ苦戦?“7期連続の最終赤字”に至った3つの主要因
女性向けバッグなどを販売する株式会社サマンサタバサジャパンリミテッドが、2023年2月15日に通期業績予想の下方修正を発表しました。1億円としていた純利益を20億6000万円の純損失へと一転させたのです。
サマンサタバサ(Samantha Thavasa)の純資産は2022年11月末時点で10億円しかありません。債務超過への転落が視野に入りました。2000年代前半は“エビちゃん”でおなじみ蛯原友里さんなど人気モデルやタレントが身につけ、絶大な人気がありました。なぜ、これほどまでに凋落してしまったのでしょうか?
4期連続の営業赤字…
サマンサタバサは2016年2月期に売上高が434億円、営業利益が21億円となって過去最高を記録しました。しかし、その後の売上高は坂道を転がり落ちるように減少し、営業赤字が続くようになりました。
2023年2月期は18億6000万円の営業損失を予想していることから、4期連続の営業赤字となります。最終損益は2017年2月期以降7期連続の赤字です。本業で全く利益が出ていません。
サマンサタバサのビジネスモデルは、付加価値の高い商品を販売し、多額の広告宣伝費で集客をするというものでした。付加価値が高い商品とは、ブランド価値をのせて高く販売するというものです。広告宣伝費はブランド構築にも一役買っていました。
海外のセレブを広告塔に起用していたが…
絶頂期を迎えていた2016年2月期の原価率は36.7%。2022年2月期は48.2%でした。11.5ポイントも差があります。2015年ごろはそれだけ商品を高く販売できたのです。
2016年2月期の広告宣伝費は21億600万円。売上高の4.9%を占めています。サマンサタバサはヒルトン姉妹、ビヨンセなど、日本のブランドとは思えない海外のセレブリティを多数起用してきました。
しかし、ブランド価値をのせて高値で販売できる旬の時代を過ぎた2022年2月期は、広告宣伝費が3億6900万円(売上高の1.5%)しかありません。かつてのようなプロモーションを行える余地はなくなりつつあります。