株価は3分の1に…「にじさんじ」VTuber事務所の株高が失速した理由
VTuber事業「にじさんじ」等を展開するANYCOLOR株式会社。2022年6月8日に新規上場し、公募価格1530円に対して初値は3.2倍の4810円をつけました。2022年10月27日には1万3790円の超高値をつけています。時価総額は一時3758億1774万円に達しました。
しかし、現在では5000円前後を推移しており、当時ANYCOLOR株をつかんだ投資家は、その価値が3分の1ほどになったことになってしまいました。目立った悪材料が見当たらないANYCOLORですが、株価が失速したのはなぜでしょうか?
驚異的な収益性は衰えていない
ANYCOLORの2023年4月期第2四半期の売上高は、前年同期間比92%増の119.7億円、営業利益は同143%増の43.1億円、純利益は同143%増の29.9億円でした。第2四半期の時点で、営業利益・純利益ともに2022年4月期通期の数字を上回っています。
2023年4月期第2四半期の営業利益率は36.0%となり、2022年4月期通期の数字を6.4ポイントも上回りました。純利益も前年同期比で5.3ポイント上回っています。
2023年4月期通期の売上高を前期比58.9%増の225億円、営業利益を同83.7%増の77億円(営業利益率は34.2%)と予想しており、驚異的な収益性はまったくといっていいほど衰えていません。
主力サービスの成長性が失われた?
それでも株価が軟調な背景に、VTuber「にじさんじ」の主力サービスの成長性が失われたことがあると考えられます。ANYCOLORの1番の強みは、VTuberの知的財産権(IP)を会社が保有していること。そのため、キャラクターの声を出している「中の人」はANYCOLOR以外で活動ができません。
また、ANYCOLORはIPを活用してキャラクター商品の展開ができます。実は動画配信による投げ銭での稼ぎはさほど多くありません。2022年4月期の売上高に占めるライブストリーミング収入は全体の2割程度でした。
ボリュームが最も大きいのが、コマースと呼ばれるキャラクターグッズの売上です。全体の半分程度を占めています。