「ボトル缶」の販売が大きなヒットに。タリーズコーヒーが“根強く愛される”理由
コーヒー豆やグッズ物販が差別化に
「コロナ前では店頭で豆を挽き、封をして、お客様に渡すのが一般的でした。それがコロナ禍で在宅ワークやテレワークが定着したことで、自宅で過ごす時間が長くなり、『おうち時間をより充実させたい』という志向が高まった。家庭でもお店で飲むようなコーヒーを味わいたいというニーズが顕著になったことで、挽き豆ではないホールビーンズ(粉に挽かれていないコーヒー豆のままの状態)のコーヒー豆を購入するお客様も増えました」
また、牛乳で割るだけで本格的なカフェオレが作れるコーヒーリキッドも販売するなど、多種多様な飲用ニーズに合わせた商品を揃えることを重視している。
他のコーヒーチェーンの物販と言えば、タンブラーやマグカップなどが一般的だが、タリーズコーヒーでは、はちみつやオリジナルキャラクター「ベアフルⓇ」のぬいぐるみやポーチなど、ユニークな商品が店頭で販売されている。
最近では映画『ハリー・ポッター』や人気アニメ「トム&ジェリー」のコラボグッズを展開するなど、タリーズコーヒーならではの付加価値を生み出すために注力している。
ビジネス街以外の立地に出店していきたい
今後、事業を拡大していく上でのマーケティングや出店戦略について、工藤氏は「お客様の生活様式は変わり、多様化が進んでいることから、既存のビジネススタイルだとこの先やっていけない」とした上で、このように説明する。
「お客様によってカフェに求める価値は異なります。コーヒーや紅茶、食事などを楽しむ憩いの場として、会社帰りにふらっと立ち寄れるサードプレイスとして、集中して仕事に取り組むワークスペースとしてと、それぞれカフェでの過ごし方が異なる状況で、いかに“好きで通いたい”と思ってもらえるかが重要だと考えています。
これまで、ビジネス街はもとより大学や病院といったクローズドな立地で店舗展開してきましたが、今後は最寄駅からワンマイルに位置する、気軽にちょっと立ち寄れるような場所をめがけて出店することが大事だと考えています。地域の中でいかに支持されるか。商圏に根付いた形で出店できるかが鍵を握るわけで、地域のお客様に満足してもらえる店舗づくりができなければ長くは残れないと思っています」