夢を支える「金欠メシ」。小説家志望の女性がみつけた調理と執筆の共通点
忘れていた小説への情熱が蘇る
洋子さんがハッとさせられたのは、「物語のはじまりからエンドロールを見ているみたい」という言葉。そして、いままで忘れていた小説への情熱が蘇ってきました。何気ない日常の話を膨らませ、面白おかしく書くのが洋子さんの手法だったからです。
「いろいろな思いが込み上げてきました。何気ない日常が、ふとしたキッカケで変わっていく…。そんな話を書くのが好きだった昔の自分。私は、母がおいしそうに食べる金欠メシを見ながら、もういちど小説を書こうと決意しました」
臼井さんはすぐに、素人が小説やマンガを投稿できるサイトを探し、無理せず投稿をはじめます。読者やしおりも付き、なかなか感触もよかったとか。そして何より、話を考えたり書いたりしているときのワクワク感や楽しさを再び思い出します。
「金欠メシ」が思い出してくれたもの
「小さい頃からずっと金欠状態だった私は、自分が作る金欠メシが好きではありませんでした。けれど母の言葉を聞いたその日からは、まるで小説を書いているときのように調理が楽しくなったのです。料理も小説と同じ、そう思えるようになりました」
いまは、時間を見つけて賞にも応募していると言う臼井さん。「金欠と病弱な母を疎ましく思ったこともありますが、いまは、夢を支える存在になっています」と語ってくれました。そしていまでは、金欠メシを考えたり作ったりすることも楽しくなったとか。
お金がない状態というのはとても辛く苦しいもの。そして、夢を叶えるまでには不利なこともたくさんあるのがリアルな現実です。けれど広い視野を持ち、いろいろな角度から金欠の現状をみつめてみることで、あらたな発見やヤル気につながるかもしれません。
<TEXT/夏川夏実 イラスト/葉月しあ(@shia_lifestyle)>
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