コロナ診療は紛らわしい?急増する「医療費の未払い問題」病院の本音は
新型コロナ第8波による医療ひっ迫が一部地域で起きているほか、インフルエンザと新型コロナの同時感染「フルロナ」も増加傾向にある。このようななか、医療機関での新型コロナ抗原検査やPCR検査の診察料などについて、悪質なものも含めた未払いが少なくないという。
多くのケースワーカーを採用するなど患者に寄り添った医療を目指す「公益財団法人 操風会 岡山旭東病院」の事務部 医事課 主任を務める松坂裕次氏に話を聞いた。
コロナ受診者の増加に伴って未払いも増加
まず、新型コロナの抗原検査やPCR検査の診察料などの未払いが本当に発生しているのか。松坂氏に尋ねてみたところ、「岡山旭東病院でも実際に起きていて、そして未払いは、コロナ受診者の増加に伴って上昇する傾向にある」と言う。
「昨年(2021年)7~9月にデルタ株が流行したとき、はじめて未収金(未払い)が増えてきたと感じました。今年(2022年)2月頃、オミクロン株が流行ったときにも未収金は増加傾向にありましたし、この夏は、昨年とは比にならないぐらいでした」
前述の第8波や「フルロナ」による感染者数増加とともに、「未収金についての懸念もある」と、松坂氏は言う。しかし、医療費は受診後に窓口で支払ってから帰るのが一般的。どのような経緯で、未払いが発生するのだろうか。
医療費未払いを招く4つのケース
松坂氏に話を聞いていくと、未払いが発生するケースは大きく分けて4つあり、誰もが気づかないあいだに「未払いをしてしまう恐れがある」ようだ。
まず1つ目は、新型コロナの検査には「完全無料」と「診察料が必要」な2種類があるという情報が、きちんと行き届いていないということ。
「各自治体が“無症状の人”を対象に期間を決めて実施している抗原検査やPCR検査の検査料は完全無料です。発熱や倦怠感などの症状があり、コロナ感染を疑われる人が医療機関を受診して医師の判断により検査を受ける場合は検査料のみ無料で、医師の診察料や薬などは有料になります(陽性確認後の薬は公費請求可)」