「100万円をホストのために」東北の優等生が“ホス狂いの風俗嬢”になったワケ
太客を育てる「育て営」の標的に
担当ホストの名前は、凌馬(仮名・22歳)としよう。凌馬は彼女より1つ年上の現役大学生。2022年1月にホストになっている。
マッチングアプリのTinderはホストの集客ツールに利用されているという。どこの店でも女性客を持っていない新人ホストは、Tinderを頑張るように先輩ホストに指導される。ホストは女性客に店でお金を使ってもらって、その半分が収入になる仕事なので集客は最重要な仕事となる。女性客を持たない新人ホストや売れないホストは、営業時間中はヘルプや初回女性の接客をしながら、営業時間外はずっとTinderをやっていたりする。
ホストは友達や恋愛相手を探すわけではないので、女性たちに無差別にLikeを押していく。反応を待つ。イケメンなのでどんどんマッチングする。すさまじい人数の女性たちとメッセージのやり取りをして、時間をつくって食事やデートもする。そうやってなんとかホストクラブに誘って客にしていく。草の根を分けて捜すように女性客を掘り起こしていくのだ。
会ったその日に肉体関係になった
尾島美幸と凌馬は2022年3月にTinderでマッチング、すぐに一緒に食事をした。食事の最中に凌馬からホストクラブに誘われた。
「最初の食事中に『ホストクラブに来てみない?』って言いくるめられた。実際に行ったらホストクラブは本当に楽しかったし、担当にもだんだんと惹かれていった。担当は私の話を全肯定してくれた。彼氏にフラれたことを忘れられるくらい楽しかった。お酒も好きだし、カッコイイ男の人たちと飲むのが楽しかった」
初めて会った日、そのまま同伴して初回に行った。閉店後、アフターは近くのラブホテルに泊まった。2人は会ったその日に肉体関係になっている。食事中と店、アフターのバーとラブホテルで、凌馬にいろいろな話をした。好きだった彼氏にフラれたこと、フラれた理由がわからないこと、高校時代は真面目でサッカー部のマネージャーをしていたこと、大学院に進学したいこと、そして中学生時代に兄が自殺したことがトラウマになっていること……凌馬はすべての話を真剣に聞いてくれた。
「私、カッコよくて落ち着いている人が好きで、担当がとことん話を聞いてくれたのが大きかった。兄を自殺で亡くしていて、ちょうど命日が3月だった。私にとって3月は気持ちの変化が激しい月で、担当はそういうことを理解してくれた。兄が自殺した理由はいろいろあるけど、母親と同じ司法書士の道を目指して途中で挫折したから。優等生で挫折とか経験ない人だったので、自分で自分を追いつめて自殺しちゃった」