累計で十数万基…“歌舞伎町ドリーム”を支える「シャンパンタワー職人」の裏側に迫る
震度4でも耐えられるタワーが作れる
さらに設計士は自分の手で幾多のシャンパンタワーを組み上げてきたメンバーばかりだという。実際に一般人が、設計図を使わずに15段のシャンパンタワーを組もうとすると、ほぼ100%の確率で崩れてしまう。
「なぜかというと、使用するシャンパングラスが全て均一ではないため、製造過程で生じるほんの少しの歪みにより、高さが出てくるとバランスが保てずに倒れてしまうんですよね。ただ、それを補完した“ゴッサム式の設計図”を元に組み上げると、震度4の地震でも崩れないくらい安定感のあるシャンパンタワーが組めるんです」
タワーを組み上げるスタッフも相当な経験の持ち主なのかというと、実はそんなことはない。
「組み上げスタッフには特別な経験や手先の器用さはそこまで求めていません。1か月程度練習をすれば誰でも1人前になれます。経験の有無にかかわらず、誰が組み上げてもハイクオリティのタワーを設置できるようになっているところが“ゴッサム式の設計図”のすごいところでもあるんですよね」
多様なシチュエーションで用いられる
夜のお店での利用はもちろんのこと、SNSに個性豊かなこだわりのタワーを投稿する人も見かける。案の定、お店以外の多様なシチュエーションでオーダーが入る機会も増えてきたようだ。
「最近では経営者の方のホームパーティであったり、有名車メーカーのレセプションでディスプレイとして設置をしたりすることもあります。また、好きなアイドルの誕生日を記念して、カラオケボックスに設置したこともありますね(笑)。依頼の幅はかなり広いな、と感じています」
これまでさまざまなタワーを担当してきたわけだが、とりわけ強く印象に残ったタワーがあるんだとか。
「通常はオーダーをいただいた後、デザインをしっかりと打ち合わせですり合わせるのですが、テーマだけを一言でお伝えするだけのお客様がいらっしゃいました。つまり、デザイン自体は全てお任せ、ということですね」