セクシーな外国人女性が現れて…20代男性が感謝する「海外出張での心霊現象」
恐怖の一夜が過ぎ去ったあとで…
「体は、まったく動かせません。『これが金縛りで、これが心霊体験というものか』と恐怖に怯えていると、なんと幽霊らしきその外国人女性が、英語で『彼氏にフラれて寂しいの』というような言葉をつぶやきながら、胸元をアピール。投げキッスまでしてきたのです」
最初は恐怖を感じていた尾形さんでしたが、いちいち英語を翻訳しないといけない面倒臭さやセクシーアピールをしてくる外国人女性の霊に拍子抜け。恐怖心がおさまっていくと同時に外国人女性に覆いかぶさられ、「気がつくと朝になっていた」と言います。
「ふと目が覚めると、『お、起きたか。初の海外出張、よく眠れたか?』とSさんに聞かれました。僕が何気なく昨日の体験を話すと、Sさんに『それって、尾形の願望じゃないの? 普段は大人しいけど、お前、ムッツリすけべだろ?』と言われ、肘でグリグリされたのです」
さらにSさんは、「いやぁ~、そんな感じがしてたんだよ。お前、面白いな!」と、大爆笑。そしてその日から、何かと気にかけてくれるようになります。その甲斐もあって尾形さんは、すっかり会社に溶け込むことができ、以前より楽しく仕事ができるようになったとか。
会社に溶け込むことができて幽霊に感謝
「あの外国人女性の霊は、心霊体験としてはイマイチでした。でも、海外出張での体験には感謝しています。ただしばらく経ってから、SさんとSさんが仲の良い同僚と僕の3人で飲みに行ったとき、たまたま海外出張での心霊現象の話になったことがありました」
そのとき、同僚が真剣な表情で「そのホテルに宿泊したが1日だけでよかったな」と言ったのです。そして、「連泊していたら、怪談『耳なし芳一』みたいに、あの世へ連れて行かれそうになっていたかもしれない」と言われ、背筋がゾッとしたとか。
それでも尾形さんは、外国人女性の霊と遭遇したお陰でSさんや会社の人たちと仲良くなれたと感謝、「どちらかというと、座敷童子のような幽霊だったと思いたい」と言います。同じものでも、捉え方ひとつで別物になってしまうのかもしれません。
<TEXT/夏川夏実 イラスト/葉月しあ(@shia_lifestyle)>