トヨタの新型「クラウン」斬新なデザインは賛否両論。その想いを開発責任者に聞く
派手なピンク色のクラウンも?注目の的に
その後も“ゼロクラウン”と呼ばれる2003年の12代目クラウンや、2012年に衝撃を与えた“ピンククラウン”の14代目クラウンなど、新しいクラウンが出るたびに人々の注目の的となっている。このような賛否を巻き起こすほどの話題性を持つクルマは、まさに唯一無二と言っても過言ではないかもしれない。
「『次のクラウンはどんなものが出るんだろう』と期待を持ってくださるお客様が多く、それに応えるために日々尽力してきた積み重ねが、今のクラウンとしてのブランドを築いてきたのだと思っています。新しいことに挑戦し、さらには形だけではない精神的な新しいものを追求していくことを心がけてきた歴史とも言えます。そのなかで“新しい技術はクラウンから”という言葉もありました」
人々をあっと驚かせる先進的なデザインやブランド体験は、クラウンだからこそできることでもあり、それが16代も続くロングセラーの大きな原動力になっていることだろう。
原点回帰しつつ“クラウンらしさ”を継承
近年は多様化も進み、クラウンの存在感が薄れたとも感じられる。こうした状況のなか、お客様のライフスタイルに合わせて選んでもらえるように発表したのが今回の新型クラウンだ。「原点の軸はぶらさないようにしつつも、クラウンの全てを見つめ直した」と語る皿田氏は、新型クラウンの開発で取り組んだことについてこう話す。
「クラウンらしさといえば、快適性や静粛性、上質な乗り心地やリラックスできる空間などが挙げられますが、これらを見失うことなく固定観念に縛られない新しさを見出していくのが、非常に難しさを感じました。正直、デザインを一新するのは怖かった部分もあります。
それでも豊田(章男)社長から『クラウンはこのままでいいのか。もう一度、原点に戻ってこれからのクラウンを本気で考えてみないか』と背中を押されたのがモチベーションになり、素直にいいものをつくろうと考えました」