『東リべ』のような学校環境…55歳・学校法人理事長が明かす「波乱の人生」
35歳で専門学校を開校「自信はあった」
「給料日前は米とマヨネーズしかない」という、手取り月収11万6000円の綱渡り生活は一変。規制緩和の波に乗って、2003年には柔道整復師専門学校を35歳で開校する。
「31歳で直営店の整骨院が11店舗を数え、その人手不足解消のために教員の資格を取ったことが、そもそものきっかけでした。教員としての勤め先を探していた頃、ちょうど規制緩和の話があったので、自分で学校をつくっちゃったんです」
周囲の反対を押し切るかたちだったが、成功する自信はあったという。
「僕は意外と緻密に考えてやるタイプで、どれくらい入学希望者がいるか、事前に自分でデータベースをつくったんです。柔道整復師専門学校って、規制緩和前は全国に13校だけでけっこうな倍率が出ていたので、予想通り初年度から定員が埋まり、1年目で借金を回収しました」
エンジェル投資に取り組む理由
まさにジェットコースター人生を歩んできた中尾氏だが、近年はベンチャー企業との提携やエンジェル投資にも積極的に取り組んでいる。
「若手経営者は若いが故に知識に偏りもあるし、中にはプライベートの脇が甘い人もいる。今は実際に痛い目にあってきた僕だからこそ、自分の経験則から若い人たちに伝えられることもきっとあるのかなと」
また、この約10年で整骨院業界の市場環境は大きく変化。接骨院・整骨院の軒数が飽和状態に近付きつつあるなか、店舗運営から整骨院・接骨院の開業・経営支援サービスを中核事業へシフトさせた。
とくにこの5年ほどは障害福祉事業にも注力。実は近年、障害者と定義される人口が急増し、障害福祉は利用者の増加で、国の予算が増加傾向にある事から2030年までに今の3倍の市場規模になると言われるほど、成長性の高い分野だという。それだけ現代社会に生きづらさを感じる人が多いということか。