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パソナは「過去最高の売上高」…飽和市場で成長を続ける人材派遣大手3社

ビジネス

売上高・営業利益・最終利益はいずれも過去最高

 2022/5期は他社同様、コロナ禍からの経済活動の再開で業績が伸びました。人材派遣事業では引き続き航空業界関連の派遣が軟調なものの、幅広い業種で需要が拡大しました。BPO事業もBPO市場拡大のほか、「東京2020オリンピック・パラリンピック」に関連した受注で業績が伸びています。増収に伴う増益で売上高・営業利益・最終利益はいずれも過去最高を記録しました

 近年の業績は主事業である派遣事業の横ばいが続く一方、BPO事業は企業のアウトソーシング需要拡大に伴い伸び続けていることが分かります。特にBPOは特定の業務を任せっきりにできる分、発注する企業にとっては派遣よりも使い勝手が良く、今後もBPO需要は伸び続けるとみられています

 同社はBPO事業の拡大によって企業規模が伸び続けると予想しており、同事業が人材派遣事業を追い抜くのも時間の問題といえるでしょう。

国内は寡占化が進む

株価

 国内の派遣市場は飽和しつつありますが、大手3社の業績は伸び続けています。これは従来型の派遣事業に加え、各社がIT・技術者派遣事業や海外事業、BPO事業などの他事業を展開しているためです。

 そして、こうした「他事業」は小規模業者が手がけるにはハードルが高く、従来型事業を展開する中小企業は飽和する市場の中で苦しむことになるでしょう。今後、国内では多角的経営で儲かった大手によるM&Aが加速し、寡占化がさらに進むのではないでしょうか

<TEXT/経済ライター 山口伸>

化学メーカーの研究開発職/ライター。本業は理系だが趣味で経済関係の本や決算書を読み漁り、副業でお金関連のライターをしている。取得した資格は簿記、ファイナンシャルプランナー

Twitter:@shin_yamaguchi_

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