パソナは「過去最高の売上高」…飽和市場で成長を続ける人材派遣大手3社
人材派遣業界は比較的景気の影響を受けやすい業界です。コロナ禍から回復しつつあるものの、派遣市場の規模はリーマンショックが起きた2008年のピーク(7兆7892億円)を超えることができず、市場は飽和しつつあると見られています。
とはいえ、人材派遣大手3社の売上高は伸び続けており、業績は好調なようです。大手と市場の動きはなぜ逆行しているのでしょうか。決算資料を参考に、飽和市場のなかで3社がどのように成長したかを見ていきます。
パーソルHD:人材派遣・紹介事業を展開
パーソルホールディングス株式会社は人材派遣・紹介事業を展開する企業です。派遣では「テンプスタッフ」、人材紹介では「doda」などのサービスを展開しています。各事業セグメントの事業内容と2022/3期売上高は次の通りです。
【パーソルホールディングスの事業内容と2022/3期売上高】
Staffing(5757億円):事務職を中心とした国内における人材派遣事業。
Career(753億円):正社員中途採用の人材紹介事業。
Professional Outsourcing(1211億円):ITエンジニア・製造業技術者の派遣事業。
Solution(117億円):人材管理・採用ソフトウェアなど。
Asia Pacific(2910億円):アジア地域での人材派遣・紹介事業。
技術者派遣・ソリューション事業も強い
主事業は事務職の人材派遣ですが、技術者派遣事業やソリューション事業も大きなウェイトを占めることが分かります。近年(2019/3期~2022/3期)の業績推移は次の通りです。
【パーソルホールディングス業績推移(2019/3期~2022/6期)】
売上高:9258億円→9706億円→9507億円→1兆609億円
営業利益:441億円→391億円→257億円→481億円
最終利益:244億円→76億円→153億円→315億円
売上高(Staffing):N/A→5070億円→5302億円→5757億円
売上高(Professional Outsourcing):N/A→1058億円→1131億円→1211億円
売上高(Solution):N/A→2732億円→2514億円→2901億円
※N/A=セグメント変更前につきデータなし。
2020/3期は米中貿易摩擦や年度末のコロナがあり、派遣業界にとって逆風が吹いた年です。しかし、パーソルHDでは2018年12月に買収した子会社の売上貢献もあり増収となりました。BPO事業(総務・人事など、企業の特定事業を請け負う事業)の好調も増収に寄与しています。
なお、利益面ではアジア・豪州など海外事業の赤字が原因で営業利益が減少し、豪州事業ののれん減損損失も相まって最終利益は大幅に減少しました。