五輪汚職で会長ら逮捕。異色の大企業KADOKAWAはなぜ“7000万円賄賂”を払ったか
東京オリンピック・パラリンピックのスポンサーを巡る贈収賄事件は、出版社大手「KADOKAWA」元会長の角川歴彦氏が逮捕されるという衝撃の展開へと発展しました。10月5日に同社は記者会見を行い、夏野剛社長らが謝罪し、「贈賄行為と評価されうる疑わしい行為」があったことを認めました。
オリンピック・パラリンピックの晴れやかなスポーツの祭典というイメージが一転。KADOKAWAだけでなく、紳士服大手「AOKI」、広告代理店「ADK」「大広」関係者らも逮捕され、裏金の温床という負のイメージが染みついてしまいました。一連の問題でKADOKAWAは信頼を失ってしまいましたが、賄賂を渡してまでスポンサーにこだわった理由はどこにあるのでしょうか?
ロンドン大会の3倍を稼ぎ出す
まず、今回の東京オリンピックの贈収賄事件で芋づる式に企業の名前が出てくる背景ついて解説します。とかく悪人のイメージが染みついてしまった大会組織委員会元理事の高橋治之氏ですが、カネ集めという側面においての“功労者”だったことは間違いありません。
ロイター通信は、東京オリンピックの日本国内のスポンサー企業の契約総額が過去最高の30億ドル超に上ったと報じています。オリンピックが開催された当時の為替相場で、およそ3300億円のスポンサー収入があったことになります。
東京オリンピックの前に開催された夏の大会で、最も多くスポンサー収入を得たのが2012年のロンドン大会で、11億ドルでした。東京オリンピックはその3倍を稼ぎ出したことになります。
「1業種1社」の原則を崩した
オリンピックのスポンサー収入は、1業種1社が原則。高橋氏はその原則を崩して、スポンサー企業の門戸を開きました。組織委員会は複数社の契約を認める方針をとったのです。
国内のスポンサーは「ゴールドパートナー」「オフィシャルパートナー」「オフィシャルサポーター」の3つに分類され、それぞれに大まかなスポンサー契約料が設けられています。企業の顔ぶれを見ると、ゴールドパートナーにみずほ銀行と三井住友銀行、オフィシャルパートナーに読売新聞、朝日新聞、日経新聞、毎日新聞が並んでおり、1業種1社の原則は撤廃されています。