憧れの出版社で「半年でクビ」ありえない上司の仕打ちとは!?
「その上司は人使いも荒いし、言葉使いも荒くて、少しでもミスがあると“死ね”とか“クズ”とか、普通に言うんです」
そんな無茶苦茶な上司がいるとは……会社の人事部や上司に相談できなかったのでしょうか?
「小さな会社だったんでそんな相談にのってくれる部署はなかったです。あと誰もその上司に逆らえない雰囲気がありましたね。でも、ある日、ついに我慢の限界がきたんです。ミス……というか、常に無茶な進行だったので、締切に間に合わなかった原稿があったときに『役立たずのクソが』と言われ、思わず睨み返してしまったんです」
反論した部下に対し、上司が取ったまさかの行動
とっさに反撃してしまった朋子さん。すると、上司はまさかの行動に出ます。
「なんと、タバコの煙を顔に吹きかけられたんです、漫画みたいに! 一瞬何が起こったのか分からなかったのですが、悔しくてムカついて、どうしようもなくて涙が流れていました」
そんな仕打ち、本当にあるんですね。
「ムカつき過ぎて言葉も出なくて、タバコの煙を吹きかけられながら、泣きながらずっと睨み続けていました。もうこの上司の下では働けないな……とは思っていましたが」
契約満了で解雇。事実上のクビに…
タバコ事件の数日後に、朋子さんはアッサリ解雇を突きつけられます。
「契約社員だったので、契約満了という形で事実上のクビを宣告されました。もともとの契約でも『新雑誌が軌道に乗らなかった場合、契約更新は難しいかも』とは言われていましたが、一緒に新雑誌プロジェクトで入社した同期は更新だったので、間違いなく私が上司に逆らったことが原因だと思います」
「解雇について上司に抗議したものの、ダメだった」という朋子さん。ちなみに新雑誌は軌道に乗ったのでしょうか?
「爆死です(笑)。上司は大嫌いでしたが、出版社で働く夢もあったので、複雑な気持ちでした。ある意味、“新雑誌プロジェクト終了”という辞め方だったので、履歴書的にそこまで傷がつかなかったのがせめてもの救いでしょうか」
そんなひどい上司の元で働き続けるなんて、いずれにしても難しかったのでは!?
「当時30歳の女性同期は、その上司がいないところでは悪口言いたい放題でしたが、本人の前では上手くやっていましたね。その子に対する上司の態度も明らかに違ってたと思います。でもあんな人の前でニコニコしてるなんてやっぱり無理~!」
全ての条件が希望通りな仕事はない
結果、退職して良かったと思っている朋子さん。今は、ITベンチャーの広告代理店に勤務しており、上司もほとんど歳下。「パワハラどころかめちゃめちゃ気を遣われている」と語ります。
「給料は安くなったけど、居心地も良いし楽しく仕事してます。出版社で働く夢は一応少しだけ叶ったから良いとします」
憧れの出版社での仕事は続けられませんでしたが、結果居心地の良い職場に就くことができたので良かったですね。全ての条件が希望通りなんていう仕事なんて、なかなかないのが現実ですね。
― 特集・Around30解雇のリアル Vol.1 ―
<取材・文/白戸ミフル イラスト/真船佳奈>