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ベビー用品業界で“独り勝ち”の西松屋。撤退する他社との違いは「立地とコスト削減」

ビジネス

インバウンド需要が消滅し苦しむも…

 2019/12期は減収となっていますが、12か月に換算するとやや好調です。同年はインバウンドの落ち込みで国内がやや軟調となりましたが、中国事業では主力の哺乳瓶類の売上やEC販売が堅調となりました。シンガポール事業、ランシノ事業も継続した営業活動により伸びたようです。なお、2019年度におけるインバウンド落ち込みの影響はドラッグストア業界など他業種でも見られました。

 翌2020/12期は特に国内事業が落ち込みました。訪日外国人による売上がほぼ消滅し、インバウンド依存度の高い商品群の売上が減少しました。かたや、中国事業は現地の経済活動の回復が早かったためか堅調に推移しました。EC販売の好調も中国事業の増収に寄与しています。ランシノ事業はEC販売が堅調だったものの、コロナ要因で実店舗での売上が減少し、減収となりました。

 2021/12期はさらに売上高が減少することになります。国内事業ではインバウンド需要消滅に加え、前年度の売上高に寄与していた消毒・衛生関連商品の特需が落ち込んだことで大幅な減収となりました。中国事業も前年の好調が一巡したほか、再びコロナの影響を受けたことで軟調となっています。シンガポール、ランシノ事業はそれぞれ営業活動による拡大、EC販売の堅調が牽引しましたが、全社業績を伸ばすには至りませんでした。

 近年の業績は特に国内事業の悪化が目立ち、同事業におけるインバウンド依存体質があらわになりました。中国事業は年度ごとに売上高が上下し、シンガポール・ランシノ事業は営業活動を継続するも大きくは伸びていないようです。同社は2022/12期売上高を950億円と予想しており、やや回復すると見ているようです。

キムラタン:アパレル事業が主力だが…

キムラタン

画像は公式サイトより

 株式会社キムラタンは、アパレル事業とその他事業を展開しています。主力のアパレル事業ではベビー・子供服や関連雑貨の製造販売を行っており、店舗はショッピングセンター・デパートの中に店舗を置く「インショップ業態」、テナント店を構える「テナント業態」と両業態の店舗を展開しています。その他事業は、新事業として始めた保育園事業やウェアラブル事業が含まれますが、ほぼ収益化できていません。2019/3期から2022/3期までの業績は次の通りです。

【株式会社キムラタン(2019/3期から2022/3期)】
売上高:40.4億円→49.2億円→47.1億円→42.4億円
営業利益:▲6.2億円→▲4.6億円→▲4.4億円→▲5.6億円
最終利益:▲6.5億円→▲5.8億円→▲4.2億円→▲8.9億円
店舗数:256店→249店→223店→217店

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