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東京駅〜成田空港わずか30分で結ぶ「成田新幹線」幻と消えた計画の顛末

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東海道新幹線に貨物専用車両を走らせる計画があった!

新幹線 車両

 大量の乗客を高速で運ぶ新幹線だが、じつは東海道新幹線の建設当時には、乗客だけでなく貨物の高速輸送も実施する計画があった。この計画は、東京、静岡、名古屋、大阪付近に貨物駅を設置して、5トンコンテナ150個を積んだ貨物列車を夜中に走らせるというもの。走行速度は時速150キロメートルで、東京~大阪間の所要時間は5時間半。

 各駅ではコンテナを在来線やトラックなどに積み替えて、輸送する構想だった。この計画のもとで、実際に貨物列車の車体デザインも描かれ、試験用の車両までつくられた。また、大阪の鳥飼新幹線基地がつくられ、貨物列車用に本線との立体交差まで設けられた。だが、現在に至るまで、東海道新幹線を貨物列車は一度も走っていない。結局、計画は実現しなかったのだ。

貨物輸送の計画が実現しなかったワケ

 その背景には、鉄道による貨物輸送の衰退があるといわれる。扱う貨物が減って在来線で対応できる程度の量しかなくなったため、わざわざ新幹線を使って貨物を輸送する必要がなくなったわけだ。

 しかし、それ以前に、もともとこの計画は一種のポーズだったともいわれている。東海道新幹線建設にあたっては膨大な建設資金が必要だった。その費用をどこから調達するのか。当時の国鉄首脳らは世界銀行から融資を受けようと考えた。そんななかで浮上したのが貨物輸送計画だった。当時は世界共通の認識として、鉄道は旅客だけでなく貨物も運ぶものと考えられていた。

 そこで、旅客に加えて貨物輸送の計画も立てたほうが、確実に融資を受けられるに違いないと、貨物輸送計画が立案されたというのである。この計画が功を奏したのだろうか、日本政府は世界銀行に1億ドルの借款を申し入れ、調査団の検討の結果、1961年に8000万ドルの融資が受けられることになった。

 こうして東海道新幹線は国家的なプロジェクトとなったのだ。もしも、開業後、旅客輸送が思うように振るわなかったならば、収益を補うためにも貨物輸送が実行された可能性もある。しかし、旅客事業が大成功し、新幹線に貨物列車を走らせる計画は幻に終わったのである。

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