片目がほぼ見えない“介護福祉士”が経営者に「ケアする人をケアしたい」波瀾人生
ケアする人をケア「Care Call」起業へ
しばらくして気持ちが復活してきたてれたすさんは、「やっぱり福祉介護業界を変えたい」と起業を決意。今年2月に「Care Call」を個人事業主として設立した
「保育や障害、介護医療というような業界は、みんな人材不足に困っています。うまくブランディングができない、ホームページも作っていない、IT化も進めていない……でも『いいサービスをやりたい』という志があるという事業者さんはたくさんいます。そういうところの力になりたいと思いました。
ITの力を使って、ケアする人をケアしたい。ケアする人は働き過ぎで気持ちも体も回らない状態です。ケアする人に余裕ができることで、良いケアが実現できます。僕が認知症介護指導者になったのと同じ理由で、ケアする人の心、考え方、知識などを変えていかないと、最終的にハンデを持った人、障害者やご高齢者に届きません」
自分らしく生きられる人を増やしたい
さらに今年6月には「フリーランスラボ合同会社」も起業。こちらは介護業界のみならず、フリーランスとして生きていきたい人全般をターゲットとし、サポートするサービスとのこと。さまざまなジャンルを専門とするフリーランスの人たちとの協業だという。
「世の中に必要な“衣食住”を支えてくれている人たちが、良い待遇になかったりする環境をなんとかしたい、という考えで起業しました。『ケアする人をケアしたい』という気持ちと根本は同じだと思っています。僕自身も障害があり、イジメられたり就職できなかったりした経験があります。ハンデがあっても、年を取っても、お金がなくても、自分らしく生きられる人を1人でも多く増やしたいです」
年齢を重ねることや障害を持つこと、人と違う働き方をすることを“個性のひとつ”と認識し、「自分らしく生きられる」ことの大切さが、てれたすさんの根本を動かしている。生まれつき目が見えにくいてれたすさんだからこそ見える、理想の未来の実現に向かって進んでいるのだ。
<取材・文/まなたろう>
【てれたす】
介護業界歴20年。生まれた時から目が悪い障害者。今年2022年2月「Care Call」事業を立ち上げる。その後、6月に「フリーランスラボ合同会社」を設立。ふたつめの事業「フリーランスラボ」サービスリリース
Twitter:@teretasu
事業 「フリーランスラボ」「Care Call」