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片目がほぼ見えない“介護福祉士”が経営者に「ケアする人をケアしたい」波瀾人生

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 少子高齢化が進んでいる日本。その高齢化率は、世界でもダントツ1位なことはご存知だろうか? 総務省統計局による、2021年の高齢者の総人口に占める割合を比較すると、日本は29.1%と世界で最も高く、次いでイタリアの23.6%、ポルトガル23.1%と続く。

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※画像はイメージです

 少子高齢化により浮上するさまざまな問題点の中には、年金制度の崩壊や労働力不足などが挙げられるが、「介護業界の人手不足」もその中のひとつだ。2021年に厚生労働省が発表した資料(第8期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について)によると、“2040年には介護職員は69万人も不足する”と考えられている。

 介護業界に関しては、過酷な労働に見合わない低い給与や、それによる離職率の多さもたびたび問題視されている。そんな介護業界が抱える課題にいち早く目をつけ、「業界を変えたい」と奮闘しているのが「てれたす®」さん@teretasu/以下、てれたす)だ。

生まれつき右目がほとんど見えない

 介護業界歴20年になり、現在47歳のてれたすさんは、生まれつき視力が弱く、障害者手帳3級を持っている。右目はメガネをかけても、ほとんど見えず、左目はメガネをかけた状態での視力が0.5。日常生活で不自由を感じることも多いという。

「幼稚園児の頃、私がやけにテレビを近くで見ていたんだそうです。それに母親が気づいて病院へ連れて行き、弱視だと判明しました。日常生活では、細かい作業が苦手です。あと、よく人にぶつかってしまいます(特に右側)。他にも、看板が見えないので駅や町で迷子になる、人を見つけることができない、段差に気づかないで転ぶなど不便はいろいろあります」

 現在は障害者手帳3級を持っているてれたすさんだが、そのメリットは「タクシーが1割安くなる程度」だという。そのため、子供の頃は差別や偏見をおそれ、手帳は取得していなかったとのこと。実際にイジメにあった経験もある。

「後に特別養護老人ホームにて施設長を勤めることになったのですが、その際に『障がい者雇用枠』で働いていた社員が辞めてしまい、その枠を埋めるために、自ら障害者手帳を取得しました

ロスジェネ世代で就活に苦労した

てれたすさん

てれたすさん

<老人ホームの夜勤でオムツ交換時「恥ずかしい。やめてぇえ!」と、叫ぶ認知症のお婆ちゃん(99歳)に拒絶される僕(当時29歳)を見て「テメー女の人に何やってんだよぉ!」と認知症のお爺ちゃん(79歳、元柔道黒帯)に胸ぐら掴まれ「どりぁあ!」と背負い投げされIPPON。正義感の塊、まさに男の中の漢>

 これはてれたすさんが2022年8月初旬にTwitterに投稿したもので、現時点(2022年8月18日現在)で13.9万いいね、1.6万リツイートを獲得している。この他にもてれたすさんのツイートからは、介護業界経験者ならではの発言が多く、興味深い。介護業界に足を踏み入れたキッカケは何だったのだろうか?

「私たちの時代は『ロスジェネ世代』とも呼ばれている就職氷河期の世代でした。大学を卒業後、就活で20社くらい落ちました。目が悪いので原付免許のみ取得でき、普通車の運転免許が取れないことも、就職難に拍車をかけました」

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