怪しい仮想通貨セミナーで見た、人生が壊れる瞬間。600万円をドブに!?
F氏の現在の月収は「約900万円」という。年収ではなく月収である。マウントコイン社にはF氏の上に2人の男がいて、それぞれ月収は2000万円と3000万円。そんな彼らは仮想通貨のマイニングでこれだけの利益を生み出しているという。
そもそもマイニングとは世界中で行われている仮想通貨の取引を承認・記録するための膨大な計算処理。その役割を担った報酬として仮想通貨を受け取ることができる。
仮想通貨の送金を実演するも…
タカシ君とおばあちゃんは、すでにF氏の耳を疑うような額の収入に心を奪われているようであったが、他の人間は半信半疑といった様子。そこでF氏は場の空気を変えるように声を張り上げてこう言った。
「でもこれだけ大きな額をいきなり言われてもみなさん腑に落ちないでしょうから、まずはビットコインの勉強から始めていきましょう!」
始まったのは仮想通貨に関する基本的な知識講座。ネットで調べればいくらでも出てくるような内容で、仮想通貨にはうとい私でも知っている内容だ。
しかし、おばあちゃんをはじめほかの受講者は、「なるほど」「知らなかった」「そういうことか!」と声を上げている。これが仮想通貨で一儲けしようとしている人々の反応なのか?
F氏によると、世界中のどこにいてもわずかな手数料で一瞬のうちに送金できてしまうことが仮想通貨の強みのひとつであるという。そこで実際にF氏がN氏の仮想通貨口座に500円を送金してみることに。
N氏も自称“仮想通貨で成功した男”であり、彼のSNSを見てみると、「仮想通貨のセミナーをしています!」というプロフィールとともに、積み重なった札束や、寿司、講演をする自分の写真を毎日のようにアップしている。
しかしながらプロジェクターで映し出されたN氏の仮想通貨口座の残金は、悲しいことにたったの4万2000円。だが、そのことに私以外、誰も気づいていないようだった。
会費数億円の有料会員へのお誘い
「仮想通貨はね、買うのではなくマイニングをしないとまったく意味がないんです! 多くの人間は仮想通貨を円で買っていますが、僕らは違う。生み出している側なんです。ざっくり言ってしまうと私たちは造幣局。お金を自分で作ることができるから、儲かるに決まっているんですよ」
日本で仮想通貨のマイニングを行うと、電気代の関係で利益はほとんど出ないとF氏は続ける。
しかし電気代の安い北欧のある一国にマイニング工場を建てることで、掘り出された仮想通貨が毎日のように日本の口座に“チャリンチャリン”と振り込まれるのだそうだ。
さて、ここからが本セミナーの本題だ。F氏がひとつ間を置いて、参加者1人ひとりの目をしっかりと見ながらこう言った。
「あなたたちが私たちのようにマイニングで稼ぐにはどうすればいいか?」
その答えはマウントコイン社の有料会員となり、北欧の一国にあるマイニングマシンの所有者になること。マウントコイン社に投資した分のマシンを手に入れることができ、投資額が増えれば比例して配当される利益も増していくのだという。
そしてスクリーンには数万円~数億円の有料会員プランが映し出され、手元にはペラ一枚の申し込み用紙が回ってきた……。