コロナ自粛、単価ダウンの「葬儀業界」。苦境で“増収キープ”できた会社はどこか
サン・ライフホールディング:冠婚葬祭や介護事業を運営
株式会社サン・ライフホールディングは、神奈川県を地盤に冠婚葬祭や介護事業を運営する企業です。主な事業はホテル・ブライダル施設を運営する(1)ホテル事業、葬儀ホールを運営する(2)式典事業、老人ホーム・訪問介護を手掛ける(3)介護事業です。なお2022/3期では(2)が売上高の7割を占めています。2019/3期~2022/3期の業績は以下の通りです。
【株式会社サン・ライフホールディング(2019/3期~2022/3期)】
売上高:125億円→118億円→103億円→111億円
営業利益:9.8億円→3.8億円→0.5億円→3.5億円
最終利益:5.4億円→▲12.6億円→1.4億円→4.1億円
ホテル事業:22.2億円→15.6億円→4.8億円→7.0億円
式典事業:86.5億円→83.3億円→75.8億円→79.5億円
葬儀×冠婚両事業の業績悪化に苦しむ
式典事業を中心に業績推移を見ていきます。2020/3期は長期トレンドで続く葬儀の小規模化に合わせる形で小規模葬儀施設のオープンを進めました。しかし、主要ホールのリニューアル工事や4Qにおけるコロナ拡大もあり売上高は減少。なお、利益の大幅な減少はホテル事業の収益性悪化や、関連施設の減損損失が大きく影響しています。
翌2021/3期はコロナの影響が直撃した形です。家族葬に対応した小規模施設を展開したものの、自粛によって1件あたりの葬儀単価は減少し、減収につながりました。ホテル事業ではコロナで式典自体が中止となり売上高が3分の1にまで減少しています。
2022/3期は小規模施設の拡充を進めたほか霊園事業が堅調に推移したため、売上高・利益ともに回復しました。しかし、長期トレンドである葬儀のコンパクト化やコロナによる自粛が続いており、売上高はコロナ以前の水準を上回ってはいません。同社でも葬儀単価の低下は足かせとなっているようです。
今後の方針について、同社はホテル事業では七五三などの季節イベントの強化を実施し、式典事業では家族葬施設のオープンやM&Aによる事業拡大を続けるとしています。ただし、葬儀・結婚式はいずれもコンパクト化がトレンドとなっており、収益性の低下が課題となるでしょう。