100万円のバッグが3万円で…SNSで拡大する「偽ブランド市場」の現状
インスタなら本物の必要がない
一方、高級ブランドバッグのN級品コピーをいくつも所有する20代女性もこう話す。
「もともとヴィトンやエルメスといったブランド品は好きでしたが、コロナ禍を機に人に会う機会がめっきり減った。そんな今、持っているブランド品をお披露目する場所と言えば、インスタがほとんど。であれば、本物である必要はないでしょ。N級品なら、写真で偽物とバレることはまずないです。
円安のせいで海外ブランド品の国内価格が軒並み値上げされているので、私の周りでもN級品を買う同年代の女性は増えていますよ」
驚きの”N級品”入手方法とは
彼女は一体どのようにしてN級品を手に入れているのか。
「インスタやツイッター上では『#N級品』や『#スーパーコピー』といったハッシュタグとともに、コピー品業者が堂々と集客しています。決済は口座振り込みやペイペイでの前払い、代引きなどさまざまです。私は前払いが不安なので、フリマアプリで決済できる業者で購入しています。業者側に『○○さん専用』として出品してもらい、そこで決済するんです。
フリマアプリはコピー品の出品は禁止されていますが、SDカードだったりトレーディングカードだったり別の商品を出品するので問題なく取引できています。フリマアプリなので匿名配送という点も安心です」
フリマアプリの匿名配送が利用できるのは国内発送の場合のみ。N級品の販売業者は、国内拠点から発送しているものとみられるが、偽ブランド品の製造拠点の多くは中国にある。東京税関の統計では、昨年の知的財産侵害物品の輸入差し止め実績19万2000点のうち、中国が仕出し国別で6割以上を占めている。
こうした状況のなか、10月から改正商標法及び意匠法が施行される予定で、個人使用であっても海外の事業者から送付される物品が模倣品である場合、没収の対象となる。個人で使うぶんには現在は合法だが、犯罪に加担する行為は慎しむべきだ。
<取材・文・撮影/SPA!偽ブランド取材班 写真/時事通信社>