検索履歴や位置情報がダダ漏れに…個人情報が売買されるカラクリとは
スマホの普及で、あらゆるデータが捕捉可能となった現代。検索履歴、閲覧履歴から位置情報といった個人情報を蓄積したプラットフォーマーが人知れずそれを売ってカネにしている。
どこまで情報を収集して流し、それを利用するか。ネット広告は広告事業者のモラルで成り立っている面が大きいという。そんなネット広告の実態に迫った。
個人情報が日常的に第三者から把握されている
「健康食品について調べていたら、ダイエットサプリの広告がいろんなサイトで表示されるようになりました。偶然なのかな。それともデータを流されている?」
栃木県在住の井上ゆえさん(59歳・仮名)の不安は切実だ。
結論から言うと、この女性の予感は的中していた。ネット広告配信の仕組みに詳しいDataSignの太田祐一社長が解説する。
「偶然ではありません。ウェブブラウザやスマホに埋め込まれているクッキーや広告IDによって、私たちは閲覧履歴や行動履歴、位置情報などを日常的に第三者から把握されている。興味や関心がある商品を広告として表示するためのものですが、悪用される場合もあります」
実際に位置情報や行動履歴が悪用された事例も
実際の事例を紹介しよう。国内大手の配車アプリ「Japan Taxi(ジャパンタクシー)」が2018年10月、ユーザーの明確な同意がないまま、配車目的に使用していた位置情報を広告目的に利用していたのだという。同社は広告事業者「フリークアウト」にデータを送信し、同社はそのデータを利用し特定の場所にいるユーザーに絞って広告を出していたのだ。
さらに悪質な事例もある。就活情報サイト「リクナビ」を運営するリクルートキャリアは2019年、リクナビや他サイトでの行動履歴(内定後も他の企業情報を見たり、応募していた)などの個人データを利用し、内定辞退率を独自に計測。企業に販売をしていたことが明らかになった。