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「今の20代は我慢しない方法を探すのがうまい」コルク代表・佐渡島庸平氏

ビジネス

――「安全・安心」の確保という面で、コミュニティの形成と、会社の経営では異なる点はあると思いますか?

佐渡島:コミュニティも会社も、簡単に辞められないというところで共通しているよね。引っ越してきた場所が気に入らないからって、すぐに転居するのは現実的ではない。結局ネガティブな気持ちを持ち続けたまま居続けなきゃならない。会社の場合も同じ。

 でも、オンラインのコミュニティだとすぐに抜けられる。だからネガティブな気持ちを持った構成員がそこにとどまることが少ない。でもサクッと出られるようにしておくのと同時に、サクッと入りにくくしておくのも重要。

 苦労して入ったのなら真面目に参加するという気持ちになるという。人の原動力で一番強いのは「損したくない」という気持ちだと思うんだよ。

――あー、たしかに「たくさん儲けたい」と「損したくない」だったら、損したくない気持ちのほうが強いかもしれません。

佐渡島:決して安くない金額で「コルクラボ」に参加したのだから、払った分まで楽しみたい、金額の分までいい体験をしたいという気持ちが生まれる。

 でも、仕事の場合だと、もらっている給料以上に働くのは損だと捉える人のほうが多いよね。たいていの人は自分の仕事を、本来の価値より高値で考えているから。

 自分では30万円だと思っていても、実際は20万円の価値しか生み出していなかったりする(笑)。だからビジネスの場合だと、“Give and Give”のほうが上手くいく気がするよね。

佐渡島

コルク本社にて、和やかな雰囲気で対談

――コミュニティを運営するには、もらった金額以上の体験を提供しないと成立しないですよね。佐渡島さんが注目している、これから売っていきたい“体験”って何かあります?

佐渡島:「コルクラボ」でやっていることを加速させたいと思う。自分の中で絶対にできないと思っていたことに挑戦する。それで、できるようになる。やればできると感じられる体験を売っていきたい。

 コルクラボのキャッチコピーは「あなたが好きなあなたになる」というのだけど、自分のことが好きになる以上に良い体験はないと思うよ。

佐渡島が見た今の20代ってどんな印象?

佐渡島

佐渡島さん(右)と、南さんのツーショット

――「コルクラボ」のメンバーって、下は中学生から上は50代以上までと幅広い年齢層ですよね。佐渡島さん個人は今の20代ってどんな印象ですか?

佐渡島:僕らの世代と比べてみたときに、努力というものの定義が違うかな。今の若い世代のほうが、何にしても結果を残せている気がするよね。特にスポーツの世界なんかがそう。

 僕らの世代って、多少イヤなことがあっても仕方ないという考えが基本にある。我慢することも努力のうちというね。けど、今の若い人は我慢しなきゃダメと言われた時点で辞めちゃう。それは僕らの世代だと、途中で投げ出す悪いことだと認識されていたんだけどね。

 でも若い人は、我慢しない方法を探す才能に恵まれている人が多いかもしれないね。イヤなことを我慢しないで、自分が楽しいやり方を見つけた人がいろんな業界で明らかに成功している。だから、そういう時代になってきたのかなと思います。もちろん、普段若い人に接していると「それくらい我慢しろよ!」と言いたいときはあるけどね(笑)。

――なるほど。心強い言葉をありがとうございます(笑)。今日はどうもありがとうございました!

<取材・構成/石井通之>

元エロ本編集者。高校卒業後、クリエイティブな分野に憧れて美術大学を目指すも、センスと根気のなさゆえに挫折。大学卒業後、就職した風俗雑誌の編集部でキャリアをスタートさせる。イベントレポートとインタビューが得意(似顔絵イラスト/koya)

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