焼肉をもっと美味しく食べるために、プロが教える「焼き方のコツ」
知られざる歴史、いい肉や店の見分け方と焼き方など、「焼肉」と一口に言っても、その奥は意外に深い。たとえば家庭のホットプレートと、お店のガスロースターとでは、焼き方が微妙に異なるのだ。またプレートのどの部分で焼くのかによって、美味しさも異なるという――。
今回は、ライター/フードアクティビストの松浦達也さんの著書『教養としての「焼肉」大全』より、「焼肉の焼き方~初級編(家焼肉編)」について紹介する(以下、同書より抜粋)。
まずはプレートの温度確認から
肉を焼くと書いて焼肉。これこそが焼肉の本質だ。まずは基本形として「表面に焼き目をつけ、内部を温める」ことを身につけたい。
業務用のロースターや七輪には焼き台の上に強火、中火、弱火がある。熱源やゾーンによって、熱の伝わり方が複合的なので詳しくは後述するが、家庭向けのロースターやホットプレートには中火と弱火しかないと考えていい。その限定された火力でいかに焼肉の醍醐味である「焼き目」をつけるかが重要なのだ。
まずひとつ目のステップとしては焼き台の上のどこが比較的火が強く(中火)、どこが弱いかを見極めること。
ホットプレートの場合は、電源を入れる前から勝負は始まっている。まずはプレートを外していただきたい。下に熱線が走っているはずだ。その直上がもっとも火力が強い部分になる。熱線上を基本の焼き位置として覚えておく。密閉空間のホットプレートは弱火ゾーンが比較的少ないのが悩ましいところだが、縁のあたりや熱線の根元あたりは比較的火力が弱いことが多い。
ガスロースターの場合も基本は同じ
先述の「やきまる」(大ヒットした家庭用焼き肉専用カセットグリル。岩谷産業)などのガスロースターの場合も基本は同じ。ガスの口径の上あたりが比較的火が強い……のだが、ガスの燃焼空間は当然ながら密閉空間ではない。空気の取り込み口がある。そして炎は風上から風下へとなびく。だから一番火力が強いのは風下方面の焼き面となる。
ちなみに手持ちの「やきまる」で温度を測ったところ、風下側の焼き面が220℃、風上側の焼き面が190℃。やはり風上側は風下側に炎を奪われ、プレート上の温度に偏りが出やすい。一度焼き場所が決まったら、なるべくその位置で焼くように心がけたい。