子育ては昔より大変になった?日本に「不寛容な時代」が来る恐怖
批判的思考を意識することが大切
「膨大な情報がストレスになることもあります。なにより、ネットの情報は玉石混交。かえって自分の子供(子ども)に適していない情報を鵜呑みにしてしまうリスクもあります。ネットの情報に振り回されないためには、ネットリテラシーを学ぶことが重要です。
例えば、『その情報にエビデンスはあるのか?』『この情報はどのようなケースを想定したものなのか?』など、ただただ鵜呑みにするのではなく批判的思考を意識することが大切です」
確かに情報を精査することは大切である。ただ、情報に振り回される背景には「ちゃんと子育てしろよ」「躾けられないなら子供(子ども)を持つな」など、子育て世帯に対する社会のプレッシャーが大きいからではないか。
子育て世帯に優しい空気感の醸成は長時間労働改善と同じくらい、急務に思えるが、徳倉氏は「不寛容さは今後増していくと思います」と口にする。
今後さらに不寛容な時代が到来?
「生涯未婚率は上がっており、自ずと子育てする人は将来的に減っていきます。つまり、“子育て世帯“がマイノリティになりつつあるのです。加えて、性別役割分業が一般的だった上の世代の人達からも、長時間労働の合間を縫って子育てしなければいけない現役子育て世帯の苦労は理解されません。
上の世代からも同世代からもその苦労は共感されにくく、どれだけ『子育て世帯に優しい社会を!』と訴えても自分事として考えてもらえません。それどころか反発さえ生みかねません」
子育て世帯に対する寛容さを回復するためのポイントとして、「多様性を理解してもらうことが大切です」と提言。
「やはり、同じ社会に生きる人間同士なので、『お互い様』という感覚を持てないと寛容さは育まれません。けれども、他者を許容することは、その人自身の余裕が必要不可欠。ただ、その余裕が金銭的なものなのか、時間的なものなのか、人間関係的なものなのかは十人十色。子育て世帯の寛容さを回復するためには、子育て世帯だけではなく、子どもを持たない人達の不満にも寄り添う必要があります」